鏡を見たとき、顔にできてしまったシミを見つけたらがっかりしますよね。シミを見つけてしまったら何とかして消したいし、普段からシミができないようなセルフケアを行っていきたいものです。そこで今回は、美容皮膚科専門ドクターがシミを消す3つの方法とシミができる原因やセルフケアの仕方について詳しく解説します。
シミを消す3つの方法
できてしまったシミを消す方法は大きく分けて3つあります。まずは美容皮膚科など医療機関での治療、それから美容クリームや美白化粧品によるセルフケアとメイクによるシミ隠しです。人によってどの方法が適しているのかは異なります。ここからは、それぞれの方法について詳しく説明します。
美容皮膚科など医療機関による治療
ピコレーザーとは
ピコレーザーとは、低出力のレーザーを肌に照射することでシミの症状を徐々に改善していく治療法です。ピコは1兆分の1という意味で、1ピコ秒単位でレーザーを肌に照射します。レーザーの衝撃波がメラニン色素を砕くため、照射することで肌のメラニン色素が少しずつ減っていくというわけです。レーザーをピンポイントで照射する場合はスポット、広範囲に照射する場合はトーニングと呼びます。ピコレーザーは治療後のダウンタイムがほとんどないのが特徴です。
フォトフェイシャルとは
フォトフェイシャルは専用の機器を用いて顔全体に光を当てる治療です。メラニンや毛細血管に当たった光エネルギーが熱に変わることで、コラーゲンなどの肌に必要な成分を作り出す線維芽細胞が活性化されます。フォトフェイシャルの光は波長の幅が広いマイルドな光です。光量はカメラのフラッシュ程度で、肌へのダメージや痛みは少ないといわれています。
クリームや美白化粧品によるセルフケア
自宅でシミの対策をしたいという人は、クリームや美白化粧品によるセルフケアがおすすめです。クリームや美白化粧品を選ぶ際のポイントは、美白有効成分が配合されていることと使いやすいことです。
美白有効成分が配合されているものを選ぶ
クリームや美白化粧品を選ぶ際には、厚生労働省で認可された美白有効成分が配合されている医薬部外品(薬用化粧品)を選ぶとよいでしょう。
ただし、美白有効成分といってもさまざまです。シミが気になる人は、メラニンの抑制や還元の働きを持つ成分が含まれているものを選びましょう。たとえば、トラネキサム酸やビタミンC誘導体、ハイドロキノンなどです。
使いやすいものを選ぶ
使いやすいものを選ぶことも大切です。美白ケアをしたからといってすぐに効果を感じられるわけではありません。数ヶ月続けていく必要があります。だからこそ、無理のない価格であることや好みの香りやテクスチャーであることが重要なポイントになります。
メイクでシミを隠す
今すぐにシミを何とかしたいという人は、メイクでシミを隠すのもひとつの方法です。特にコンシーラーを上手に使えばシミを目立たなくすることができます。ただし、シミの大きさによって使うコンシーラーや塗り方が異なるので注意が必要です。
大きなシミにはスティックコンシーラー
シミが大きい場合には、スティックコンシーラーを使いましょう。スティックコンシーラーは質感が硬めで、高いカバー力があります。
まずはスティックコンシーラーの角の部分を使い、シミが隠れる程度の大きさにのせましょう。次に、シミの周りをトントンと叩きながら、のせたコンシーラーをぼかしていきます。このとき、シミの直接上に当たる部分を叩くとコンシーラーが薄まってしまいます。薄まるとシミが浮き出てしまうので要注意です。
小さなシミやそばかすはリキッドコンシーラー
シミが小さい場合には無理に隠そうとせず、リキッドコンシーラーで軽くカバーしましょう。リキッドコンシーラーはスティックよりも質感がゆるいものが多いです。リキッドコンシーラーにはさまざまな形状のタイプがありますが、筆タイプが使いやすいでしょう。
ますはリキッドコンシーラーの筆を寝かせるように持ち、気になる部分に数本線を引きます。そうして線の上から指でトントンと叩きます。コンシーラーを肌にしっかりなじませましょう。
セルフケアが有効なシミの種類
シミといってもさまざまです。セルフケアをする際には自身の悩んでいるシミがどのような種類なのかを知り、それに適したケアを行う必要があります。ここからは、シミの種類とおすすめのケア方法について解説します。
老人性色素斑
老人性色素斑は加齢や紫外線による肌のダメージが原因でできるシミです。日光黒子とも呼ばれます。日光が当たりやすいところにできることが多いです。色は褐色で境目がはっきりしており、淡い場合も濃い場合もあります。サイズも小さなものから大きなものまでさまざまです。
老人性色素斑は長年の肌へのダメージが積み重なってできるものなので、できてしまったら個人で改善することはかなり難しいといわれています。そのため、発生させないための予防ケアをしっかり行うことが大切です。季節を問わず日焼け止めクリームなどで紫外線から肌を守るようにしましょう。
炎症性色素沈着
炎症性色素沈着は炎症などによる肌への刺激が原因で発生するシミです。ニキビや湿疹、かぶれ、虫刺されといった肌の炎症が治り、赤みが引いた後に多く起こります。肌の内部でメラニンが過剰生成されてしまうためです。炎症性色素沈着は時間が経つと徐々に薄くなって消えますが、紫外線の影響などによって濃くなって残ってしまうこともあります。色は赤や褐色、黒などがあり、大きさもさまざまです。
炎症性色素沈着のケアとして大切なのは、メラニンの活動を抑えることです。また、メラニンを外に排出するために肌のターンオーバーを活性化させる必要もあります。そのため、美白ケアに加えて生活習慣の乱れを見直し、睡眠不足や運動不足、偏った食生活などを改めるようにしましょう。
肝斑
肝斑は主に頬骨の部分に左右対称でできるシミです。色は褐色で、淡いものから濃いものまでさまざまあります。境界があいまいで、他のシミよりも比較的大きいのが特徴です。
肝斑は30代から50代にかけての女性に多く、女性ホルモンが関連しているといわれています。妊娠後にできた場合などは肝斑を疑った方がよいかもしれません。ちなみに、肝斑という名称は形が肝臓に似ていることからつけられました。肝臓の病気とは何の関係もありません。
肝斑のセルフケアとしては、トラネキサム酸やビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6などが改善に効果があるといわれています。これらの成分を含んだ美白化粧品を使ったり、肝斑用の市販薬を用いるとよいでしょう。ただし、トラネキサム酸には止血作用があります。血栓ができやすい人や既に止血薬を服用している人は、服用する前に医師や薬剤師に相談しましょう。
セルフケアで消せないシミの種類
シミにはさまざまな種類があり、出現する場所や原因、対策はそれぞれ異なります。ここでは、セルフケアで消せないシミの種類と、消すのが難しい理由について説明します。
雀卵斑(そばかす)
雀卵斑(じゃくらんはん)とは、そばかすのことです。3ミリ以下の薄い茶褐色のシミで、鼻や頬、腕や肩、背中などにできます。成長するにつれ増え、思春期をピークに徐々に目立たなくなることが多いです。幼少期から現れることやある程度遺伝性があることが特徴で、紫外線を浴びると目立つようになります。そのため、紫外線の強い春や夏に濃くなり、紫外線の量が減る秋や冬に薄くなる傾向があります。
雀卵斑はメラノサイトがメラニン色素を過剰に作り出すことが直接的な原因で、紫外線で症状が悪化します。雀卵斑を悪化させないためには、紫外線の対策や肌のターンオーバーを整える生活習慣が大切です。
一方で、雀卵斑の発症には遺伝的な要素が関わっていることもあり、セルフケアで発症を予防したり、シミを消したりすることは難しいです。雀卵斑は見た目が肝斑と似ていますが、レーザー治療が向いている雀卵斑に対し、肝斑はレーザー治療で悪化する可能性があるなど、治療法は異なります。
脂漏性角化症
脂漏性角化症とは、シミの代表的なものである老人性色素斑が盛り上がり、いぼのようになったものです。老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)とも呼ばれ、最初は1~2mm程度の小さなものですが、徐々に大きくなり5cm以上になることもあります。
色や形、隆起の仕方、触った感触はさまざまです。一般的には、色は淡い褐色、茶褐色、黒で、形は円や楕円形をしています。平らなものもあれば、隆起しているものもあり、またすべすべのものもあれば、ザラザラしているものもあります。
脂漏性角化症は、紫外線によって皮膚の表皮基底細胞に異常が起き、皮膚表面に盛り上がったものです。肌の老化や紫外線、遺伝が原因とされており、セルフケアで消すことはできません。
一部は紫外線対策によって予防できますが、服で隠れて日光に当たらない鼠径部などにもできることが分かっており、紫外線対策だけで全てを予防することは困難です。多くは良性の腫瘍に分類されますが、急速に数が増え、痒みがある場合は、内臓がんに伴う「レーザートレーラー症候」の可能性があるため、注意が必要です。
花弁状色素斑
花弁状色素斑は過度な紫外線を一気に浴びた後に現れやすいシミです。強烈な紫外線がメラニン色素を大量に作り出し、シミとして定着することが原因とされます。海水浴に行って真っ赤になるほど日焼けしたようなときに、その数ヶ月後に出現します。肩や背中の上部に現れることが多く、自分では気づかないことも多いです。
そばかすと似ていますが、そばかすが遺伝性なのに対し、花弁状色素斑は遺伝性ではありません。花弁が散ったような形から「花弁状色素斑」と名づけられました。
花弁状色素斑は、肌の奥にある真皮層がダメージを負うことで現れるため、真夏に1日中外にいるようなときは日焼け止めや服装で紫外線対策を行い、予防します。一旦できてしまった後も、肌のターンオーバーを促したり、紫外線対策をしたりして、数を増やさない対策は可能です。一方で、化粧品の美白成分は真皮層まで届きにくいため、セルフケアで消すことは難しいでしょう。
シミができる主な原因
シミができる主な原因は、紫外線と肌のターンオーバーの乱れです。遺伝が関係するシミであっても、直接的な原因には紫外線と肌のターンオーバーの乱れが大きく関わっています。ここでは、紫外線や肌のターンオーバーの乱れが、どのようにシミに影響するかを説明します。
紫外線
紫外線を浴びると皮膚の基底層にあるメラノサイトが刺激され、肌を紫外線ダメージから守るためにメラニン色素を作り出します。基底層は表皮と真皮のつなぎ目の部分です。メラニン色素は上へ上へと押し出されていきますが、紫外線を浴び続けると、ターンオーバーのサイクルを上回ってメラニン色素が蓄積し、シミになります。
また、蓄積が多すぎると真皮まで沈着してしまうこともあります。一度できてしまった真皮のシミをセルフケアで消すのは難しく、美容皮膚科などでの治療が必要です。シミを予防するには、日焼け止めをまめに塗りなおし、帽子や日傘などで肌を覆うといった紫外線対策が重要になります。
ターンオーバーの乱れ
メラニン色素は、正常な肌のターンオーバーが行われている20代の場合、約28日間の周期で皮膚の表面に押し出され、垢となって剥がれ落ちます。ターンオーバーのサイクルは老化によって遅くなるため、30~40代では約45日間必要です。
ターンオーバーのサイクルが遅くなるため、年齢を重ねるにつれシミができやすくなります。このほかにも、生活習慣の乱れや乾燥、ストレス、無理なダイエット、アルコール、たばこなどが理由でターンオーバーは乱れやすくなり、メラニン色素の排出を妨げるので注意が必要です。規則正しい生活と適切なスキンケア、紫外線対策を行って、肌の正常なターンオーバーを促しましょう。
綺麗にシミを消すには美容皮膚科で治療する
シミを消したい人や、自分だけではなかなかシミを消すことができないという人は、美容皮膚科での治療を検討してみましょう。ここからは、美容皮膚科で行われている治療と価格の目安について詳しく解説します。
美容皮膚科での治療方法
美容皮膚科で行われているシミ消し治療はさまざまありますが、主なものはレーザーや光による治療と導入・ピーリング治療の2つです。それぞれどのような治療法なのか、詳しく解説します。
レーザーや光による治療
専用の機器を使って顔にレーザーや光を照射する治療です。品川スキンクリニックではシミの種類によってフォトシルクプラスやレーザートーニングなどの治療を行っています。
フォトシルクプラスはイタリアDEKA社の美白治療器を用いた治療です。広域の波長をもつ光を照射することでシミの元となるメラニン粒子を分解します。従来の方法よりもメラニン粒子の分解作用に優れているといわれています。
レーザートーニングは治療が困難だといわれている肝斑や深いシミに対応できる治療法です。アメリカのConBio社が開発したメドライトC6という機械を使い、微弱なパワーで肌に光を照射します。これによりメラノサイトを活性化させることなくメラニンを少しずつ減少させるという治療法です。
導入・ピーリング治療
ケミカルピーリングとイオン導入を合わせた治療法です。ケミカルピーリングは化学成分を肌に塗布し、皮膚を溶かし余分な角質を除去することで肌のターンオーバーを促します。イオン導入は専用の機器を使って微量の電流を流し、塗布した美容有効成分をより深くまで浸透させる方法です。
品川スキンクリニックではシミの種類やお悩みに合わせてパール美肌(インフュージョン)やコラーゲンピールなどいくつかの治療法を用意しています。
シミを消すためにかかる費用
シミを消すためにかかる費用は、どのような治療法を何回行うかによって異なります。たとえば光やレーザーによる治療の場合、品川スキンクリニックではフォトシルクプラスは顔全体(こめかみ除く)初回税込8,640円、レーザートーニング(メドライトC6)は顔全体初回税込5,190円です。
導入・ピーリング治療も回数によって価格は変わりますが、パール美肌(インフュージョン)は顔全体で初回税込3,500円、コラーゲンピールは顔全体で初回税込10,800円です。なお、違う部位や2回目以降は価格が変わるのでご注意ください。
シミを防ぐためのセルフケア
シミはいくつかのポイントに気をつけることで、自分でも予防することができます。ここからは、シミを予防するために抑えておきたい4つのポイントについて詳しく解説します。
UVケアで紫外線対策をする
まずは徹底した紫外線対策を施しましょう。紫外線を浴びると肌が焼けて褐色になります。これは肌の細胞を守るためにメラノサイトが活性化し、メラニンを生み出すためです。このメラニンは肌のターンオーバーによって自然に排出されますが、過剰に紫外線を浴びるとターンオーバーが乱れてしまい、それが原因でシミになってしまうのです。
紫外線は夏や晴れた日だけでなく、冬や曇りの日にも降り注いでいます。そのため、冬の日や曇りの日にも日焼け止めを塗るようにしましょう。また、日中は2~3時間おきに塗り直すのがおすすめです。日傘やストールも併用するとなおよいでしょう。
有効成分が配合された医療品を使う
シミに効く有効成分が配合された医療品を使うのもひとつの方法です。効果があると認められている成分は、塗り薬だとハイドロキノンやレチノイン酸、ビタミンC誘導体などです。飲み薬ではL-システインやビタミンC、トラネキサム酸などがシミ予防や改善に効果があるとされています。
これらの成分が配合された医薬品は医療機関で処方してもらうか、もしくはドラッグストアなどで市販のものを購入できます。飲み薬の場合は商品名に「医薬品」、クリームなどの場合は「医薬部外品(薬用)」と記載されているものを選ぶとよいでしょう。
ただし、これらの医療品はそばかすや脂漏性角化症、花弁状色素斑といったシミには効果がないので注意が必要です。既にシミができ始めているという人は、それがどの種類のシミなのかをよく調べることが大切です。
スキンケアで肌のターンオーバーを整える
正しいスキンケアをしてターンオーバーを整えるのもシミ予防につながります。シミの元となるメラニンを外へ排出するためには、肌のターンオーバーが欠かせないからです。
気をつけるべきポイントは3つあります。まずは洗顔です。顔を洗う際は摩擦が起きないようにたっぷりと泡立て、優しく汚れを落としましょう。ゴシゴシと強くこすると肌を傷つけてしまいます。
次に、十分な保湿ケアを行いましょう。肌の乾燥はターンオーバーが乱れてしまう原因のひとつです。化粧水をつけたら美容液、最後に乳液かクリームの順番でしっかり肌の潤いを保つようにしましょう。
最後に、市販のピーリング剤で3週間に1度ピーリングを行いましょう。ピーリングには古い角質を落とす効果があります。その結果、メラニンの排出を促すというわけです。ピーリング剤にはさまざまなものがありますが、塗って洗い流すタイプが使いやすいでしょう。
生活習慣を改善する
生活習慣を見直すことも大切です。身体の外側からだけでなく、内側からもしっかりとケアしましょう。そのためには栄養バランスに気をつけることが大切です。肌のターンオーバーを促す栄養素としてはビタミンAやビタミンC、ビタミンEが有名です。これらの栄養素が入った食事をしっかりとるようにしましょう。
また、過度のストレスや慢性的な睡眠不足もシミの原因になるといわれています。適度な運動などでストレスを上手に発散し、夜更かしせずに十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。
シミの改善についてのよくある質問
- Q 市販の商品でシミを消すことはできない?
- A シミには市販の商品で効果が期待できるものとそうでないものがあります。そばかすや脂漏性角化症、花弁状色素斑の場合、市販の商品で消すことはできません。一方、老人性色素斑や炎症性色素沈着、肝斑によるシミの場合、美白用の医薬部外品(薬用化粧品)である程度薄められる可能性はあるでしょう。
- Q サプリメントってシミに効果あるの?
- A シミ対策のために必要なのは肌のケアだけではありません。バランスの良い食生活をすることも大切です。特にビタミンAやビタミンC、ビタミンEといった栄養素は肌のターンオーバーを促進し、シミの原因になるメラニンの排出を助けてくれます。これらの栄養素を食事で摂取することが難しいという人は、サプリで摂取するのもひとつの方法です。
- Q レーザー治療のダウンタイム期間は?
- A シミの部分にレーザーを当てるとかさぶた状になります。このかさぶたが治るまでの期間がダウンタイムです。ダウンタイムの間はかさぶたになった部位をばんそうこうやテープで覆っておかなければなりません。レーザー治療を行った場合、ダウンタイムは7~10日程度といわれています。