主に顔にできるシミには、その特徴から複数の種類に分類可能です。今回は、シミの種類と、それぞれのシミに対して選ばれることの多い治療方法について紹介します。
シミの種類と特徴(見分け方)
シミには、大きさも箇所もまばらな「老人性色素斑」や、幼少期からみられ細かいものが多くできる「そばかす」といった種類があります。他にも、女性に多くみられる「肝斑」や、肌が傷ついたあとに生じることのある「色素沈着」が、シミの種類としては代表的です。目の下に三日月型のように広がっている場合は、肝斑である可能性が高いでしょう。
老人性色素斑
老人性色素斑の特徴
老人性色素斑は、シミの中でももっとも多いタイプといわれており、老人性シミや日光黒子と呼ばれることもあります。大半は紫外線や老化によるものとされていますが、すべての原因がわかっているわけではありません。
老人性色素斑ができる場合、30代から徐々に認識できるようになるものの、若くてもできることがあります。また、男性でもできます。多くの老人性色素斑は茶色いのが特徴で、境界線も比較的明瞭です。できる箇所はまちまちのため、顔の一部にできることもあれば、全体にできるケースもあります。例えば、日光の当たりやすい手の甲や腕にできることも珍しくはありません。
老人性色素斑の治療法
老人性色素斑の治療には、レーザーや光の照射が選ばれるケースが多いようです。まばらにできるため、シミの濃さや大きさ、範囲などには個人差があります。顔全体にレーザーや光を照射するのではなく、シミに対してピンポイントでの照射が一般的です。その際には、シミの濃さなど症状に合わせて、レーザーの種類の選択や照射レベルの調整が行われます。
ピコレーザーはパルス幅が短いため、メラニン色素の粒子を細かく粉砕できるシミの種類です。そうして壊された色素はターンオーバーによって体外へと排出されやすくなります。こうしたことから、ピコレーザーは比較的早く効果を実感できるといわれています。使用されるのは、主にシミや肝斑などです。ほかにも、微細なレーザーを肌に照射することは皮膚の再生を促すことにつながります。その結果、ニキビ跡や毛穴の開きにも効果が期待できる、といわれています。
そばかす
そばかすの特徴
そばかすは、雀卵斑とも呼ばれ、老化とは関係なく遺伝的な要素が関係しているといわれています。そのため、幼少期からみられる人も少なくありません。しかし、紫外線や体調などの影響を受け、症状が変化するケースもあるようです。季節により色が濃くなったり薄くなったりするのも特徴の一つです。
顔であれば、多くは頬のあたりから鼻にかけてできます。顔以外では、背中や手などにできるケースもあります。比較的広範囲にわたってでき、他のシミと比べて、一つ一つが小さい点も特徴です。また、女性に多くみられる症状でもあります。
そばかすの治療法
そばかすの治療には、レーザーや光の照射が選ばれるケースが多いでしょう。そばかすは色素の濃淡や範囲がまちまちであるため、症状に合った治療方法を選ぶ必要があります。
症状によりますが、レーザー治療が選択されるケースが多いようです。老人性色素斑の治療と同様に、シミのある部分にレーザーを照射します。かさぶたの状態となり、徐々に薄くなっていく過程が一般的です。そばかすの特徴から、継続的な治療が必要になるケースが少なくありません。
肝斑
肝斑の特徴
肝斑は、30代以降の女性によくみられるシミの症状です。しかし、男性にまったくできないわけでもありません。紫外線や肌への刺激、炎症やホルモンバランスの崩れなど、さまざまな原因が挙げられていますが、明らかにはなっていないようです。体質が影響しているケースも少なくないでしょう。
多くの場合、頬の上部に左右対称にできるのが特徴です。色は比較的薄いものの、広範囲にわたって、あるいは一つのシミが大きくできるのも肝斑の特徴といえます。
肝斑の治療法
肝斑には確立した治療法がないともいわれています。そのため、さまざまな治療法が試されるケースが多いようです。一般的には、内服薬が治療の一つとして選ばれます。その他、外用薬やレーザー、ピーリングによる治療が選ばれることもあるでしょう。従来のレーザーではエネルギーが大きく悪化の可能性があることから、レーザー治療は難しいとされていました。しかし、低エネルギー照射が可能な「レーザートーニング」による治療を行うクリニックが増えてきています。
治療法の選択や相性などにより、肝斑の症状の経過は異なります。そのため、途中で治療方針が変更されるケースも珍しくありません。紫外線や物理的なものも含め、肌への刺激を与えないよう指導されることもあります。
色素沈着
色素沈着の特徴
色素沈着は、日焼けや怪我、ニキビや火傷などのあとにできるシミです。肌になんらかのダメージを受けたあとにシミができた場合は、色素沈着がまずは疑われます。軽度なものであれば、時間の経過により自然に治るといわれていますが、体質や生活習慣などにより異なるでしょう。大きな傷ができた場合や、同じ箇所に繰り返し炎症が起こるなどした場合には、色素沈着として長期間残るケースも珍しくありません。
原因などにより症状はさまざまで、シミの色にも差があります。境界線も曖昧なものが多いようですが、やはり、原因などによって異なるでしょう。虫刺されやかぶれなどのあとにもできることがあるため、顔や体にかかわらず、どの部位にもみられる種類のシミです。
色素沈着の治療法
色素沈着の治療法は、原因やシミの大きさ、色などにより適切なものが選ばれます。代表的なものは、レーザーや光の照射による治療です。また、ピーリングや外用薬による治療が選ばれるケースも少なくありません。繰り返す炎症が原因となっている場合には、炎症を落ち着かせるための内服薬が治療の一環として選ばれることもあります。
また、色素沈着は肌のターンオーバーの正常化により回復が早くなりやすいともいわれているため、基本的なスキンケアの指導や基礎化粧品の提案がされることもあるでしょう。
ADM
ADMの特徴
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とは、両頬に左右対称で数mmほどのくすんだ色素斑ができる病気です。遅発性太田母斑や対称性真皮メラノサイトーシスと呼ばれることもあります。原因は不明で、皮膚の深い部分である真皮に色素沈着と色素細胞が見られます。
色は灰色や少し青みを帯びた褐色であることが多いです。男性よりも女性の方が発症しやすいといわれており、発症のピークは20代です。
ADMの治療法
ADM は、主にレーザーを用いた治療が行われています。これは、ADMの場合、皮膚の深いエリアである真皮でシミが発生するためです。また、1度だけの治療ではシミが消えないため、数回レーザーを照射しなければなりません。3ヶ月に1度の照射を2、3回行って完治することが多いですが、レーザーによって生じる炎症後色素沈着の状況によってはそれよりも治療間隔が長くなることがあります。
扁平母斑
扁平母斑の特徴
扁平母斑は、患部に皮膚の盛り上がりがないあざの症状です。茶あざやカフェオレ班とも呼ばれます。顔や手など、さまざまな部位に発症します。皮膚から盛り上がるように発生することはありません。
多くは生まれつきこの症状が存在しているか、あるいは生後間もない時期に発症します。しかし、まれに思春期以降に発症することもあり、その場合は遅発性扁平母斑と呼ばれます。先天性であれ遅発性であれ、通常は悪性化することはないと考えられています。
脂漏性角化症
脂漏性角化症の特徴
脂漏性角化症は、別名老人性イボと呼ばれている症状です。明らかな原因はまだ分かっていないものの、年齢とともに発症率が高くなります。とはいうものの、何歳で発症するかは個人差が大きいため、遺伝的な体質が大きく影響するのではないか、といわれています。また、紫外線も発症要因のひとつと考えられています。
多発症部位で多いのは、顔やこめかみなどです。ただし、全身のどこにでも見られます。平らなシミが盛り上がり、時間とともに大きくなるのが特徴です。見た目は褐色か黒色で、サイズはさまざまです。
脂漏性角化症の治療法
脂漏性角化症は良性腫瘍です。したがって、症状が悪化しても癌の原因などになる可能性は低いです。とはいうものの、放置したところで自然に治癒するわけではないので、不快感を感じる人や美容上の観点から気になる人は専門的な治療を受けるとよいでしょう。
よく行われている治療としては、Qスイッチヤグレーザーなどのレーザー治療や高周波メスを使ったイボの除去が挙げられます。治療回数は大抵の場合1回で終わります。また、赤みや色素沈着が残りやすいものの、液体窒素による冷凍凝固もよく行われる治療法です。
太田母斑
太田母斑の特徴
太田母斑は、主に顔の片側に発症する青いあざです。額や目の回り、頬、鼻、耳などに生じることが多いです。症状は生後半年以内に生じることが多く、出生時に存在していることはほとんどありません。色が濃くなったり新たに色素斑が生じたりすることがあるのは思春期になってからです。20歳~40歳代で発症することもあります。
色は青紫色から灰紫青色であることが一般的ですが、そこに薄い褐色の小色素斑が混在しているケースも見られます。そのような場合、茶あざやそばかす、中年以降に発症した場合はシミと誤診されることもあります。
太田母斑の治療法
太田母斑は、現在ではレーザー治療が行われることが多いです。これは、従来の治療法では傷跡が目立ってしまったり、思春期以降に再発してしまったりすることが多いためです。また、合併症の危険もありました。レーザー治療は、そうした危険性が比較的少ないといわれています。
レーザー治療では、真皮部分にあるメラニンを破壊します。早期治療が有効ではあるものの、患部に拡大傾向が見られる場合は回数が増えてしまうため、落ち着くのを待つこともあります。複数回に及ぶときは3ヶ月以上の間隔をあけながら数回の治療を行います。
シミの種類のまとめ
シミには原因によって様々な種類があり、治療を考えた方が良い場合もあります。クリニックで医師に最善の治療法を相談してみることも選択肢の1つかもしれません。皮膚のコラーゲン産生に働きかけてハリを高めるフォトシルクプラス、お肌の皮膚に直接照射するためシミ、肝斑、あざなど色素性病変治療により効果的なシミ・肝斑トーニング、細かくメラニン色素を破壊しシミをピンポイントで除去するピコレーザー、レーザー光を弱い出力で照射し肝斑や根深いシミ・くすみだけではなく毛穴の開きにも効果を発揮するレーザートーニングなど、当院では患者様のお悩みに合わせて適切な治療法を提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
シミの種類でよくある質問
- Q 顔にできるシミにはどんな種類がありますか?
- A 顔にできるシミには、主に老人性色素斑、そばかす、肝斑、ADM、色素沈着、脂漏性角化症の6種類があります。シミの種類よって治療方法やセルフケア方法が変わるので、自身のシミの症状がどれに当てはまるのか、しっかり確認しておきましょう。
- Q 老人性シミにはどんな種類がありますか?
- A 老人性シミとしてまず挙げられるのは、老人性色素斑です。日光黒子とも呼ばれます。そのほか、30歳~60歳代の女性に多く見られるのが肝斑です。頬や目の下に左右対称の褐色斑がある場合や、妊娠や出産前後にシミができた場合には、肝斑を疑った方がよいかもしれません。また、触るとザラザラしている場合には、脂漏性角化症の可能性があります。
- Q 色素沈着のシミにはどんな種類がありますか?
- A 色素沈着によるシミは、その原因である黒色メラニンの量と位置によって色が変わります。シミは黒メラニンの位置が皮膚表面に近いほど茶色調になり、メラニン量が多いとこげ茶色や黒色になるからです。また、メラニンが皮膚の深い部分である真皮に入り込んでしまっている場合、灰色や青色のシミになります。
- Q あざのようなシミがありますが、これはなんですか?
- A あざに似たシミの場合、扁平母斑か太田母斑の可能性があります。扁平母斑は茶あざとも呼ばれており、薄い茶褐色をしています。幼少期から既にある場合や形が円形ではない場合、扁平母斑かもしれません。太田母斑は青あざと呼ばれる症状で、生まれつき存在していることが多いです。小さなものだとシミのように見えることもよくあります。
- Q 子供のシミは治療できますか?
- A 子供でも親の同意があればシミやあざの治療を受けることができます。ただし、子供のシミやあざの場合、大人になったら目立たなくなるものや保険が効かないものがあるので注意が必要です。まずは医師に相談してみましょう。