ハイフで期待できる効果とは
ハイフ(HIFU)とは英語で「High Intensity Focused Ultrasound」を略した用語で、日本語では「高密度焦点式超音波治療法」と呼ばれています。具体的には肌に高密度の超音波を照射する方法です。肌に照射された超音波による熱エネルギーで、皮膚内部の組織に刺激を与えることができます。皮膚内部は表皮・真皮・皮下組織・SMAS筋膜・表情筋など構造が分かれており、どこに働きかけるかで得られる効果もさまざまです。
例えば超音波を真皮層に照射すると、熱エネルギーによるダメージで肌ではコラーゲンやエラスチンの生成が促されます。その結果、肌のハリやたるみ、弾力アップなどの効果が期待できるのです。また、真皮よりも深い層にあるSMAS筋膜への照射では、SMAS筋膜が引き締まります。つまり、皮膚のたるみに土台から働きかけるため、リフトアップ効果が期待できます。以上のように働きかける場所により、期待できる効果が異なるのが特徴です。
「ハイフはやめたほうがいい」と言われる理由
ハイフはさまざまな効果が期待できる方法ですが、「ハイフはやめたほうがいい」という意見もささやかれています。ではなぜ、やめたほうがいいと言われているのでしょうか。ここからは、以下に6つの理由を挙げて詳しく説明していきます。
効果を実感できない場合がある
実際にハイフを受けて効果を感じやすい人もいれば、逆に効果をあまり実感できない人や向いていない人もいます。もともと向いていない人が効果を期待してハイフを受けても、思っていたほどの効果を得られないという結果になる可能性があるでしょう。
例えば10代や20代の若い人の場合、そもそも老化があまり始まっていません。肌の水分や油分のバランスもよく、たるみもないならば、ハイフを受けても変化が少なく、効果を実感できないことが考えられます。
施術中に痛みを強く感じることがある
痛みを感じることがあるのも、ハイフをやめた方がいいと言われる理由のひとつです。肌に高密度の超音波を照射するハイフでは、皮膚の内部に熱エネルギーによる痛みを感じることがあります。具体的には針で刺すようなチクチクした痛みです。もうひとつ、ハイフでは骨に響くような痛みを感じる人もいます。特に深い層にあるSMAS筋膜への照射では、超音波も骨に近い深い場所まで届くため、骨に響くようなズキンとした痛みを感じることがあるのです。
大抵は我慢できる程度の痛みであることが多いものの、出力の強さや照射の角度、深度によって痛みの度合いが違ってくる場合があります。痛みの感じ方は人それぞれですが、まずはクリニックが痛みにどのような対策を取っているのか確認してみてください。痛みを軽減できるハイフ機器も導入が進んでいるため、合わせて確認してみるといいでしょう。
効果が永続的ではない
ハイフは受けてすぐに効果を感じる人もいますが、一般的には効果が現われるまで1ヶ月程度の期間を要します。また、一度受ければ効果がずっと続くものでもありません。
使用する機器によって持続効果には違いがあり、短くて3ヶ月程度、長くて1年程度です。永続的に効果があるものではないため、効果を持続させたい場合は定期的にハイフを受け続ける必要があります。3ヶ月ごとや6ヶ月ごとなど、周期に合わせて適切な間隔でハイフを受けると効果を感じやすいでしょう。
副作用のリスクがある
重篤な副作用は少ないといわれているハイフにも、軽度の副作用は起こることが考えられます。例えば皮膚の内部に超音波による熱エネルギーを与えるため、一時的に肌の水分が減少し、乾燥気味になったり刺激を受けやすくなったりします。また、ハイフを受けてから数日間は肌に赤みが出ることがありますが、大抵はファンデーションでカバーできる程度です。
同じように数日間は腫れや熱っぽさ、筋肉痛のような痛みが生じたり、数日間から1週間程度はむくみが生じたりすることもあります。ほとんどが数日から1週間程度で収まってきますが、改善されないようならば放置せず医師に相談するようにしましょう。まれに照射時の出力や角度、深度によって水ぶくれができることや、やけどの症状が現われる場合があります。そうなると感染症を引き起こす可能性も考えられるため、やはり医師に相談してください。
たるみの悪化や頬がこける場合がある
たるみのケアとして効果があるとされているハイフですが、かえってたるみが悪化する場合があるのも理由のひとつです。ハイフは超音波を照射することによってSMAS筋膜を引き締める効果が期待できますが、同時に脂肪細胞も減少させてしまうことがあります。
もともと顔にあまり脂肪がない人では脂肪をさらに減少させてしまうため、たるみが悪化したり、頬が痩せこけたようになってしまったりするのです。顔立ちや脂肪の付き方は人によって異なるため、事前にしっかりカウンセリングを受けることが重要です。
エステハイフでのトラブルが多い
ハイフにはクリニックなどの医療施設で行われる医療用ハイフのほかに、エステサロンで行われているエステハイフがあります。原理は同じですが、医療用ハイフは資格を持った医師や看護師が実施するのに対し、エステハイフはエステティシャンが行います。
また、出力が弱く、肌の深部にまで届かないエステハイフでは、限定的な効果しか得られません。結果として、思ったほどの効果を得られなかったというトラブルが起こる可能性があります。さらにエステサロンは医療施設ではないため、もし副作用が出た場合、素早く適切な対応ができず、トラブルに発展する場合もあります。
ハイフをやめたほうがいい人
ハイフはすべての人に向いている治療法ではありません。ハイフをやめることが望ましい人を紹介します。
顔の脂肪が少ない人
たるみ治療としてのハイフは、肌を支えている皮下組織の土台にあるSMAS筋膜に超音波を一点集中させます。表面の皮膚にはダメージを与えず、熱によって引き締めて引き上げることによってたるみを治療する方法です。ハイフを受けると、たるみが改善する反面、脂肪細胞も減少する可能性があります。そのため、元々顔に脂肪細胞が少ない人は、さらに脂肪が少なくなってしまい、顔が痩せこけてしまう可能性があるのです。
また、脂肪が少ない人は皮膚組織で吸収しきれなかった超音波が骨に当たりやすくなるので、ハイフを受けると普通の人より痛みを感じやすくなる傾向があります。
年齢が若い人
18歳未満の人でも親権者の同意があれば、ハイフを受けることはできます。しかし、10~20代前半の若い世代で肌の老化が始まっている人はあまりいないものです。肌には比較的ハリがあり、たるみやシワがある人はそれほどいません。
ハイフはたるみを改善することを目的とした治療なので、元々たるみがない肌に治療をしても、効果を実感しづらいです。
たるみが大きく進行している人
たるみが大きく進行している人は、ハイフだけでは期待する効果が得られない場合があります。ハイフだけで十分な効果を期待するためには、治療を根気強く継続して受けることが必要です。
たるみが大きく進行している場合、ハイフとは別の治療法が向いているケースも少なくありません。自分にはどの治療法が向いているのかを知るために、治療を受ける前に医師に相談してみると良いでしょう。それぞれの治療法のメリットやデメリットを理解したうえで、自分に合う方法を選ぶことが大切です。
肌トラブルがある人
肌トラブルがある人は、ハイフを受けることは望ましくありません。ビーチで肌を焼くなど過度に日焼けをした状態でハイフを受けると、乾燥や炎症が起きている肌にさらにダメージを与えることになってしまいます。炎症がひどくなったり色素沈着を招いたりする可能性があるため注意しましょう。ハイフを受けたい人は、普段から日焼けしないように気を付けるか、秋冬の日焼けをしづらい季節に治療を受けることが望ましいです。
アトピーやヘルペス、ケロイドなどの症状が見られる人も、ハイフを受けると炎症の悪化や色素沈着を招く恐れがあります。ハイフを受ける前に肌トラブルを解消しておきましょう。炎症が収まっている場合でも、ハイフを受けても良いかを医師に相談することが望ましいです。
ハイフを受けてはいけない人
妊娠中の人や妊娠の可能性がある人はハイフを受けることは望ましくありません。糸リフトの治療で金の糸を入れている人がハイフを受けると、皮下組織内の糸が過熱されて火傷をする可能性があるため、治療法としてハイフを選択するのはやめましょう。
糖尿病や心臓疾患、自己免疫疾患、てんかんなどの病を患っている人もハイフは受けられません。ペースメーカーなどの埋め込み型医療機器を体内に入れている人、皮膚に悪性腫瘍や前癌病変がある人およびそれらの疑いがある人もハイフは治療法として不適です。血栓や血液疾患を患っている人、治療当日に体調がすぐれない人もハイフを受けてはいけません。
ハイフが向いている人
ハイフが向いている人はどのような人なのかを紹介します。
メスを入れる施術に抵抗がある人
ハイフは皮下組織やSMAS筋膜に超音波を照射する方法で治療を受けられることが特徴です。リフトアップを目的とした治療の中にはメスを使うものがあり、不安を感じる人もいるでしょう。
ハイフはメスを使わないので身体に傷跡をつけることがありません。リフトアップを希望するものの、メスを使った治療には踏み切れなかったという人に向いています。
ダウンタイムが短い施術を受けたい人
ダウンタイムとは、治療を受けてから通常の生活に戻るまでの期間のことです。痛みや腫れ、むくみ、赤み、内出血などの症状が出ることがあり、場合によってはメイクや洗顔を始めとして、日常生活に支障が出る可能性があります。
ハイフはメスを使わない治療法なので、メスを使う治療法に比べるとダウンタイムは短めな傾向です。ハイフの治療を受けてから1週間ほどは内出血や赤みなどの副作用が出ることがありますが、多くの場合はメイクでカバーできます。
顔のたるみが気になってきた人
顔のたるみが気になりだす30~40代の人は、ハイフの治療効果を実感しやすい傾向です。たるみが気になる人の中には自己流でマッサージをする人もいるでしょう。しかし、自己流のマッサージは、やり方を間違えると皮膚表面に負担を与えることになってしまい、たるみやシワが増える原因になることも少なくありません。
ハイフは皮膚の深層部にアプローチする治療法なので、皮膚表面への負担を抑えられることがメリットです。
部分痩せをしたい人
ダイエットをしてもなかなか痩せられない部位があり、部分痩せをしたい人にハイフは向いた治療法です。特定の部位に超音波を照射すると、熱エネルギーによって脂肪細胞が破壊されます。破壊された脂肪は徐々に体外に排出されていき、数ヶ月経つ頃には身体が引き締まったと実感できるでしょう。
一度治療を受けるだけでは、超音波を照射できる脂肪細胞に限りがあるため、部分痩せを目的とする場合は3~5回繰り返して治療を受けることが望まれます。部分痩せの目的でハイフをおこなう場合、破壊された脂肪細胞は元に戻ることがないので、リバウンドが起こりにくい点もメリットです。
肌のハリやシワが気になってきた人
ハイフを受けることで肌が引き上がり、シワやほうれい線が目立ちにくくなります。目元や口元など皮膚が薄い場所にも照射できるので、目元の小ジワなどが気になる人にも向いた治療法です。
肌のハリが失われてきたと感じた場合、化粧ではなかなか上手に隠すことはできません。ハイフなら皮膚の深層に直接働きかけることができ、リフトアップによってハリのある肌に近づけます。
ハイフで失敗しないためのポイント
ハイフは、超音波を照射して皮下組織に熱エネルギーによる刺激を与え、シワ・たるみの緩和や肌の引き締め促進を図る方法です。ただし、ハイフは解剖学の知識が求められる難しい治療法で、「かえってたるんだ」「老けて見える」などの事例も見受けられます。ここでは、ハイフで失敗しないために、特に注意すべきポイントについて解説します。
エステではなく医療機関で施術する
ハイフには、美容クリニックなどで行っている医療ハイフと、エステサロンで行っているエステハイフの2つがあります。料金が安価なためエステハイフを選ぶ人がいますが、受けるなら医療ハイフのほうがおすすめです。なぜなら、ハイフは高密度の超音波を肌に照射することで肌組織を変化させる方法であり、実施する側に医学的な知識が求められるからです。
医療ハイフであれば、ハイフを行うのは医療資格を持ち、専門知識がある医師や看護師であり、万が一トラブルが起きたときでも適切に対処できます。また、医療機関では出力の高いハイフ機器が使えるため、超音波を希望の部位にしっかり照射することが可能です。
エステハイフでは、ハイフを実施するのはエステティシャンです。医学知識がないため適切な部位に的確な方法で照射できるとは限らず、トラブルが起きた際も、すぐに必要な医療ケアを施すことができません。また、医療機関ではないエステサロンで使用できる機器は、出力が低いものに限られています。そのため、望んだような結果はなかなか期待できないでしょう。
失敗のリスクを避けるためには、医療機関で受けることが望ましいといえます。
ハイフのリスクやダウンタイムを理解しておく
ハイフは、受けるまえにリスクやダウンタイムについて十分に理解しておくことが大切です。ハイフのダウンタイムは他の施術に比べて短めですが、出力の程度や照射の位置などによっては副作用が出る可能性もゼロではありません。よく見られる副作用は、肌の乾燥やむくみ、赤み、腫れなどです。また、筋肉痛のような痛みがでることもあります。
ダウンタイムについて知らず、ハイフを受けてから赤みや痛みが発生すると「失敗したのでは」と不安に襲われる人もいるでしょう。しかし、通常は数日から1週間ほどすれば症状は徐々に落ち着きます。副作用が出たからといって失敗したわけではありません。ただし、症状がひどくなるようであれば、病院を受診してください。
不安な点は事前に医師に相談する
不安な点や疑問に思う点があれば、ハイフを受けるまえに医師に十分相談しましょう。たとえば「ハイフによって得られる結果や持続時間」「どのような感じに仕上がるか」「痛みはあるか」「どういった副作用が出る可能性があるか」などです。治療後に注意すべきポイントやケアの方法なども、事前にしっかり確かめておく必要があります。そのうえで、ほかの治療法に変えるかどうかも含めて、ハイフを受けるかどうかを判断しましょう。
もし、疑問点をたずねて丁寧に説明してもらえなかったり、ごまかされたりした場合は、そこで受けるのを止めるのも1つの選択肢です。ほかの病院でカウンセリングを受けることも検討しましょう。ハイフに限らず、治療は質問に対して明確に回答してくれる、信頼できる医師のもとで受けることが大切です。
術後のアフターケアに気を付ける
ハイフは皮下組織に高密度の超音波を照射し、内部に熱エネルギーを生じさせる治療法です。熱が生じた影響で、一時的に肌が乾燥しやすくなることがあります。外部ダメージに弱い状態になっているため、ハイフ後1ヶ月ほどはいつも以上に丁寧な保湿ケアや紫外線対策が必要です。洗顔後は優しく保湿し、外出時は日焼け止めクリームを塗り、帽子や日傘を活用して紫外線を浴びないように注意しましょう。
日焼けしたり保湿を怠ったりすると、肌の乾燥や赤みが長引く恐れがあります。入浴や運動は問題ありませんが、あまり激しい運動はしないようにしましょう。
ハイフの影響に関してよくある質問
- Q ハイフをやると将来的にたるみやすくなる?
- A ハイフによって将来たるみやすくなるという言説に医学的エビデンスはありません。ただし、ハイフを照射すると皮下脂肪が減るため、皮膚が余ってたるんで見えるケースはあります。ハイフによるたるみが起こらないようにするためには、信頼できる医師に相談し、ハイフ後のイメージを十分シミュレーションすることが大切です。
- Q ハイフで癌になるというのは本当ですか?
- A ハイフで癌になるという言説に、医学的エビデンスはありません。ハイフはもともと、1950年代にアメリカで脳腫瘍の治療に臨床応用されていた技術です。2004年ごろには、ハイフの特徴を活かして美容医療でも用いられるようになりました。長く使われてきて、これまで発癌リスクが報告された例は見受けられません。
- Q ハイフをやりすぎるとどうなりますか?
- A ハイフの適切な頻度は3~6ヶ月に1回です。受けすぎると熱ダメージが残り、水ぶくれややけどが起きたり神経を傷つけたりする恐れがあります。フェイスラインを引き締めすぎて、顔がこけて老けて見えることもあるでしょう。ハイフの2回目以降は、カウンセリング時に前回はいつだったかをしっかり伝えることが重要です。