フェイスラインは「顔の輪郭」のことです。俳優やモデルを始め、他人に見られる機会の多い職業の人は、フェイスラインが引き締まっていて、輪郭の線がハッキリしている人が多いです。フェイスラインが引き締まっていると、耳の下からあごにかけてのラインもしっかり浮き出ているものなのです。その一方、フェイスラインにたるみがあり、輪郭がボンヤリしている人もいて、たとえ若者であっても油断できません。

フェイスラインにたるみがあると、どうしても太って見えたり、老けて見られたりしがちです。あるいは口角が下がりやすくなって、疲れている、機嫌が悪いなどの印象を周囲に与え、元気はつらつとしたイメージからも遠ざかってしまうでしょう。年齢に関係なく、フェイスラインがたるんでしまう原因について、このページで解説していきます。

フェイスラインのたるみとは

フェイスラインのたるみとは【画像】

フェイスラインがたるむ原因は、顔の皮膚や皮下組織が衰えてしまったことにあります。皮下組織には、筋肉、靱帯、皮下脂肪、骨などがあります。これらはお互いに支え合って輪郭が作られていますが、どこかが弱ってバランスが崩れたときに、フェイスラインのたるみが発生するのです。これは必ずしも加齢だけが原因ではなく、若い人であってもフェイスラインのたるみが起きるおそれが十分にあるので注意してください。

フェイスラインのたるみの原因

フェイスラインのたるみの原因には、大きく分けて「肌のたるみ」「筋力の低下」「脂肪の増減」「顔のむくみ」「骨の萎縮」を挙げることができます。ここから、それぞれの原因について詳しく解説していきます。

肌のたるみ

肌のたるみ【画像】

フェイスラインのたるみの原因は、肌のたるみでもあります。では、肌のたるみはなぜ起きるのでしょうか。それは、皮下組織のひとつであるコラーゲンが衰え、減ってしまうからです。コラーゲンは繊維状のタンパク質の一種で、たくさんの皮下組織をお互いに繋げ合わせることで、人の皮膚にハリを与える効果があります。このコラーゲンが減れば、皮下組織のバランスが崩れて、肌がたるみます。皮膚(表皮)の下には、肌の弾力やハリを維持する真皮があり、そのうち約70%を構成している成分がコラーゲンです。これだけ人体にたくさんあるコラーゲンが減ると、フェイスラインが崩れてしまうのも無理はないと思いませんか?

コラーゲンの衰えは、加齢だけでなく、紫外線の影響によっても起きます。肌が紫外線を浴びると、新陳代謝がうまく行われなくなり、コラーゲンが新たに作り出される機能が低下するといわれているのです。つまり、若い人であってもコラーゲンが衰えるリスクが十分にあるわけです。その他、ストレスや飲酒、喫煙もコラーゲンを衰えさせ、フェイスラインのたるみを増やす原因だといわれています。ストレスや飲酒によって体内に増えた活性酸素が、皮膚細胞にダメージを与えるからです。たばこのニコチンにも、コラーゲンの生成を抑制してしまう効果があります。

筋力の低下

筋力の低下【画像】

皮膚の下にある筋肉は、重力に逆らう形で常に人体を支えています。しかし、加齢によって筋肉が衰えると、皮膚を支える力が徐々に失われていき、やがてフェイスラインのたるみを引き起こしてしまうのです。普段から筋肉を使わなくなってしまうことも、衰えの原因になります。たとえば、他人との交流が少なく、無表情で過ごすことが多かったり、マスク生活が長くて表情筋を使わなくなったりしていると、皮下の筋力が低下し、血液やリンパの流れが滞りやすくなるため、やがてフェイスラインをたるませる原因になりえます。

脂肪の増減

脂肪の増減【画像】

皮下脂肪や表情筋などの組織同士でうまくバランスが保たれていると、フェイスラインも美しく維持させることができます。しかし、食べ過ぎや運動不足などによって皮下脂肪が増えると、その重さを表情筋が支えられなくなり、それがフェイスラインのたるみに繋がってしまうのです。

その一方、皮下脂肪が減ることでフェイスラインのたるみが生じることもあります。食生活の変化、特に栄養不足によって皮下脂肪が急激に減ってしまうと、皮膚のハリもなくなるため、やはりフェイスラインがたるむ原因になりうるのです。

顔のむくみ

顔のむくみ【画像】

運動不足や栄養不足、冷えなどによって、顔のむくみが生じるかもしれません。特に女性は、生理前の時期にホルモンバランスの変化で水分や栄養素を積極的に体内へ取り込むようになるため、むくみやすくなります。顔がむくむと、皮膚の下を流れる血液やリンパが滞ってしまい、皮下組織の機能を低下させてしまいます。つまり、老廃物や水分が皮膚の下に溜まり続けることで、やがてフェイスラインのたるみが起きてしまうおそれがあるのです。

骨の萎縮

骨の萎縮【画像】

骨の萎縮は、「骨密度の低下」によって起きます。骨に含まれるミネラル成分(骨塩量)が、加齢などによって減少することが、骨が萎縮する原因です。骨が萎縮すると、若いときにできていた頬やあごなどの膨らみが小さくなり、目元や鼻など、顔にあるさまざまなパーツにも影響が生じます。そうして、やがてフェイスラインのたるみに繋がってしまうのです。

フェイスラインのたるみを防ぐために気を付けること

フェイスラインがむくんだり、たるみがあるのが気になっていませんか。フェイスラインがスッキリしていると、年齢よりも若々しく美しい印象を与えることができます。年齢を重ねると、皮膚の弾力やハリが失われ、たるみの原因になります。また、表情筋の衰え、血行不良、皮下脂肪の増加や骨格の変化によっても、たるみが発生します。年齢だけの問題ではなく、適切な生活習慣や食生活習慣、また、ストレッチや紫外線対策なども大切です。ここでは、フェイスラインのたるみを防ぐために気を付けることを個別にていねいに紹介します。

姿勢の改善

姿勢の改善【画像】

普段の姿勢が猫背だったりスマホなどを長時間使用してうつむき状態で長く過ごしたりすると、血流が悪くなって老廃物がたまりやすくなります。これが、口元や顎にたるみが出たり、ほうれい線や二重顎が発生する原因になってしまいます。日ごろから意識して背筋を伸ばし胸を張るようにして、正しい姿勢を保つよう気を付けましょう。また、ときどき腕を回すなどして、血流改善を心がけましょう。

表情筋トレーニング

表情筋トレーニング【画像】

顔の表情筋は真皮の奥でつながっていて、40種以上の筋肉があります。このうち、よく使用される筋肉は3割程度しかなく、残りの7割は日常的には使っていません。表情筋は使わないとすぐに固まって衰えてしまうため、意識して表情筋を使うよう心がけ、こまめにストレッチしましょう。特に、頬、口の周り、顎、首の筋肉ストレッチが効果的で、代表的なものをいくつか紹介します。どれも難しくないので、できそうなものからトライしてみてください。毎日の習慣にして、歯磨きやバスタイムなど1日に何回かするといいでしょう。

舌まわし

口を閉じ、舌の先を上の外側の歯茎に当てます。歯茎を時計回りになぞり、下側も続けてなぞって舌を20回程度回します。続いて反時計回りに同様に回します。

あいうえお運動

少し上を向いて口を大きく開け「あ」と発音します。続いて、口角を横に広げ少し上げ気味に「い」。次に口を前に突き出し、頬をすぼめて「う」。それから、唇を内側に巻き込むような感覚で「え」。口を前に突き出して「お」。ポイントは表情筋をよく使うよう、口を大きく動かし、それぞれの状態を5秒間継続し、5回くらい繰り返しましょう。

唇突き出し運動

顔を天井と水平に向けます。唇を天井に向けて突き出し、そのまま5秒間キープします。これを5回くらい繰り返しましょう。

マッサージやストレッチ

マッサージやストレッチ【画像】

フェイスラインのたるみは血流やリンパの流れが悪いことも大きな原因です。このため、首や肩回りの筋肉をほぐしましょう。仕事の合間にも、首や腕を回したり、肩甲骨のストレッチをしたりすると効果的です。首や肩のハリを感じたら、こまめにストレッチするといいでしょう。また、バスタイム後のリラックスした状態でヨガなどのストレッチをするのもおすすめです。さらに、顔全体の血流促進には、頭皮のマッサージが効果的です。次のようなマッサージをバスタイムやお風呂上りに行いましょう。

「両方の手のひらで側頭部にゆっくりと圧力をかけて、5秒程度キープする」「指の腹を使って円を描くように耳のあたりからおでこの上まで髪の生え際を上に引き上げるようにマッサージする」「耳の周りからもみあげ辺りまでゆっくりマッサージする」「うなじ周辺の髪をつかみ、痛みがない程度に引っ張る」

紫外線対策

紫外線対策【画像】

顔の真皮には、コラーゲンやヒアルロン酸などが含まれ、これらが十分あることで肌の弾力が保たれます。しかし、波長が最も長く、地上に届く紫外線のうち95%を占める紫外線A波は、約20~30%が真皮層まで届き、コラーゲンなどの線維芽細胞を傷つけてしまうのです。その結果、肌が弾力を失ってシワやたるみができてしまいます。紫外線B波は、肌を赤くして、シミなどの原因になります。日差しがあまり強くなくても、A波やB波を防ぐUVクリームを2~3時間間隔でこまめに塗りなおすようにしましょう。

スキンケア対策

スキンケア対策【画像】

肌の乾燥もたるみを起こす大きな原因になります。肌の保湿ケアで、乾燥を防ぎ、肌の代謝を適切に整えましょう。クレンジングでメイクを落とすときには、手でそっとメイクとなじませ肌をこすらないように注意してください。また、洗顔の際はぬるま湯で優しく洗い、皮脂を洗い流し過ぎないようにするのがポイントです。そのあとは、しっかりと保湿することが重要になります。化粧水が乾かないうちに、乳液、クリームなどをつけて乾燥を防ぐようにしてください。

食事

食事【画像】

食事の際にあまり噛まないで食べると、顎の筋肉が衰えて二重顎の原因になります。このため、意識してしっかり噛むようにして顎の筋肉を鍛えましょう。また、肌を健康に保つには、食べることで摂取するタンパク質、コラーゲンも大切です。肉、魚、卵などのタンパク質を多く含む食品を積極的にとりましょう。また、タンパク質と合わせて、コラーゲンの生成を促す効果の高いビタミンA、B、Cなども一緒に取りましょう。これらは緑黄色野菜に多く含まれています。

フェイスラインのたるみを
改善する方法

フェイスラインのたるみを改善する方法はいくつかあります。ここではたるみの改善方法について説明していきます。

化粧品

化粧品【画像】

フェイスラインのたるみを改善させるのに役立つ可能性がある化粧品は、ヒアルロン酸やナノセラミドなどを含む美容液です。ヒアルロン酸は、非常に保水力が高い成分で、肌や髪に潤いを与えます。そして、肌にハリを与える効果も期待できるでしょう。また、ナノセラミドは肌の角質層に浸透し、細胞にできた隙間を埋めることで、十分な水分量を蓄えることができます。そうして肌の潤いを保つことができると考えられています。植物由来の成分によって、肌を引きしめる狙いの美容液もあります。

また、コラーゲンやエラスチンも、肌のハリ感を高めることによって、たるみを改善させる効果が期待できます。保湿成分として加水分解コラーゲンや加水分解エラスチンが配合されている化粧品を使うといいでしょう。また、レチノイド(ビタミンA類)やナイアシンアミドには皮膚に含まれるコラーゲンやエラスチンを増やすとされますので、やはりフェイスラインにハリをもたらすことが期待されます。

美顔器

美顔器【画像】

フェイスラインのたるみを改善する方法として、美顔器が頭に浮かぶ人も多いでしょう。美顔器は着々と進化していて、今では顔の美容という目的に対し、さまざまなアプローチで効果を発揮しようとする美顔器がジャンルごとに細分化されています。

肌の上で転がすことで物理的に力を加え、血液やリンパを流すローラー型美顔器は、顔のむくみを取ってスッキリ引き締めることによって、たるみを改善させることができます。また、超音波の振動によって血行やリンパの流れを良くする超音波美顔器は、皮膚の運動を促進させることで、ハリのある肌を保つ効果が期待できるでしょう。主に、顔のむくみが原因で発生したたるみには、超音波やローラー型の美顔器が適しているとされます。

もし、疲労やストレスが原因で生じているたるみだという自覚がある人なら、イオン導入・導出型美顔器が効果を発揮するかもしれません。美容液の有用成分をイオン化することにより、高い浸透効果が期待できます。

また、フェイスラインのたるみが筋肉の衰えによって生じているなら、EMS美顔器がその改善に適している可能性があります。自動的に腹筋を鍛える機器として世界的に注目を集めたEMSを、美顔の分野に応用したのがEMS美顔器です。微弱電流によって表情筋の運動を促すことで、たるんだフェイスラインを改善させられると考えられています。

美容医療

美容医療【画像】

フェイスラインのたるみには、さまざまな原因があります。たとえば骨の萎縮がたるみの原因になっていれば、もはや美容液や美顔器で改善させるのは難しい状況です。それでも、専門的な知識や技術を身につけた美容外科医の手による美容医療なら、フェイスラインのたるみを生じさせている原因に直接アプローチし、組織の内側から物理的に改善させられる可能性があります。また、美容液や美顔器による対策は手間がかかって面倒だと考えている方、あるいはたるみを根本的に改善させたい方も、美容医療が適しています。美容医療であれば、たるみ改善の効果が長続きする治療法もあります。

フェイスラインのたるみを改善させる美容医療として代表的なものとして、皮膚の組織を内側で吊り上げる糸リフトや、ヒアルロン酸の注射超音波による専門的な美容機器を使用するHIFU(ハイフ)などが挙げられます。肌に直接メスを入れ、皮膚を縫い縮めることによって、たるみを治療するフェイスリフトもあります。もし、心理的な抵抗がある方は前もって医師に相談しましょう。自分に合った最適な治療が受けられます。

フェイスラインのたるみについてのよくある質問

Q フェイスラインがたるみやすい人はいますか?
A フェイスラインがたるみやすくなる原因の多くは、加齢によるものです。つまり、歳を取るごとに、顔の皮膚組織である表情筋が衰えやすくなり、そのためにフェイスラインがたるむリスクが上がっていくのです。その他、太った人や姿勢の悪い人も、フェイスラインがたるみやすくなります。首回りの皮膚が重力によって垂れ下がりやすくなるためです。
Q フェイスラインのたるみが目立つ年齢は何歳から?
A おおむね40代を過ぎてくると、フェイスラインのたるみが気になる人が増える傾向があります。年齢を重ねるほど、フェイスラインだけでなく顔の各部位でたるみは生じるおそれがあります。人によっては、20代からたるみが出てしまう場合もあるので、若いからというだけで油断することはできません。
Q フェイスラインをスッキリさせるマッサージはある?
A たるんだフェイスラインを整えてスッキリさせる効果的な方法のひとつに、あご下マッサージがあります。まず、親指と人差し指を使ってあごを挟み、内側から外側へと軽くねじるようにほぐしていくのです。あごの部分が今までより柔らかくなったと感じ始めたら、次は耳下まで同じようにほぐしていくと、さらに高い効果を期待できます。