「ニキビ跡が残ってしまった」「ニキビ跡のせいで人前に出るのが嫌になる」とお悩みではありませんか。ニキビ跡は多くの人を悩ませる肌トラブルのひとつです。
ニキビ跡とは
ニキビ跡とは、赤みや色素沈着、クレーターなどニキビが治癒した後に残る跡のことです。たとえニキビが治ってもニキビの重症度や個人の肌質などにより、さまざまな種類のニキビ跡が生じる可能性があります。ニキビ跡は自己流のケアだけでは改善が難しいともいわれており、専門的な治療が必要になるケースも少なくありません。
ニキビ跡の原因
ニキビ跡ができるメカニズムにはさまざまなパターンがあります。炎症後紅斑と呼ばれる「赤み」の原因は、ニキビの炎症により毛細血管が新しく生まれたり、拡張したりすることです。「色素沈着」は炎症後色素沈着とも呼ばれニキビの炎症によりメラノサイトが活性化し、メラニンが過剰生成されて起こります。
「クレーターやしこり」の原因は、ニキビの炎症が真皮まで達し組織が破壊されることです。ニキビを無理に潰すことでもクレーターができやすくなります。特に凹みができやすい場所は、皮脂分泌量の多いおでこや頬・こめかみなどです。
しこりの原因は、真皮の炎症により皮膚の再生能力が異常をきたし、コラーゲンが過剰生成されることです。まれにニキビ跡が赤く盛り上がり「ケロイド」になることもあります。ケロイドは、ほとんど体質が原因です。
【ニキビの種類別】
ニキビ跡にならないための対策
赤ニキビ・黄ニキビ
赤ニキビとは、アクネ菌の増殖により毛穴に炎症が起こり赤く腫れた状態のことです。この状態になると、炎症が落ち着いてもその後少し赤みが残ったり、茶色く色素沈着したりすることがあります。赤ニキビを放置すると発生してしまうのが、毛穴に膿がたまった状態である黄ニキビ(嚢胞ニキビ)です。黄ニキビは、赤ニキビからさらに炎症が進行しています。
軽度なニキビであれば、時間が経過すると徐々に引いていくため、ニキビ跡が残ることはあまりありません。しかし炎症が長引くほど肌へのダメージは大きくなり、跡が残る可能性が高まります。特に黄ニキビは、セルフケアで消しにくい困難な凹みやクレーターを生み出す要因です。
赤ニキビ・黄ニキビによる跡を残さないために重要な対処法は、可能な限り早く炎症を抑えることです。黄ニキビとなる前に赤ニキビの炎症を鎮静化しましょう。鎮静化には、美容皮膚科でのRF治療などが効果的です。一般的な処方薬は塗り薬ですが、重症度によっては漢方を含む内服薬も併用されます。
白ニキビ
白ニキビとは、毛穴が詰まったところに皮脂が蓄積している状態です。この段階では炎症が起こっていないため、適切なケアを行えばニキビ跡を残さずに治すことができます。症状を悪化させないよう早めに適切な治療を受けましょう。
白ニキビは炎症を伴っていないため、赤ニキビのような炎症を抑える薬は使用しません。治療はクリニックでのニキビ圧出やケミカルピーリングが効果的です。
ニキビ圧出では、専用の器具を使って毛穴に詰まった皮脂を取り除きます。ケミカルピーリングとは、古い角質を除去して毛穴のつまりを改善する治療法です。そもそもニキビの原因菌は、毛穴に詰まった皮脂を餌として増殖します。ニキビ圧出やケミカルピーリングで、菌の餌となる皮脂を取り除くと、ニキビの進行を抑制し改善することができます。
黒ニキビ
黒ニキビとは、白ニキビが進行し毛穴に詰まった皮脂や古い角質が空気に触れて酸化することで、黒く変色したニキビです。黒ニキビの段階では炎症は起きていないため、適切な治療を行えばニキビ跡を残さずに治すことができます。放置すると赤ニキビへと悪化し、ニキビ跡が残るリスクが高まるため適切に対処しましょう。
黒ニキビを跡にしないためには、症状の悪化を防ぎ、適切な治療を速やかに受けることが重要です。黒ニキビの治療法は、白ニキビと大きな差はありません。クリニックでニキビ圧出やケミカルピーリングを受けることが効果的です。
黒ニキビの芯である角栓を無理に取り除こうとすると、毛穴が閉じずに開いたままの状態になってしまうことがあります。そのせいで毛穴が目立つようになったり、へこんだままクレーター状になったりする可能性があります。一度このような状態になると自然治癒は困難です。黒ニキビによって毛穴が開いてしまった場合は、自分で無理に対処せず、早めにクリニックで治療を受けましょう。
ニキビ跡の治療方法
ニキビ跡は、ホームケアだけでは改善が難しく、皮膚科の保険診療でも治療の対象とはなりません。一方で美容皮膚科なら、自由診療でさまざまなニキビ跡治療を受けられます。ただし、一度の治療で完全に跡が消える訳ではありません。通常は複数回の治療が必要です。
ニキビ跡の種類や状態によって最適な治療法は異なるため、まずは医師の診察を受け、自分に合った治療方法を相談しましょう。
赤みのあるニキビ跡の治療法は、レーザーを用いて拡張した毛細血管を収縮させる方法があります。数日のダウンタイムがあるものの、高い効果を得られるのが特徴です。
色素沈着したニキビ跡には、エレクトロポレーション治療が有効です。メラニンの排出を抑制するビタミンC誘導体を肌へ浸透させます。
凹みやクレーター状のニキビ跡の治療に効果的なのは、肌に微細な傷を付け、新しい皮膚の再生を促すフラクショナルレーザーです。この治療は1~2週間程度のダウンタイムが発生します。
しこり状のニキビ跡には、フラクショナルレーザー治療の他、しこり部分に直接薬剤を注入する注射療法が効果的です。ケロイド化したニキビ跡には、専用の薬剤を注入する注射療法が用いられます。
ニキビ跡を消すために気をつける点
ニキビ跡をきれいに消すには、美容皮膚科での専門的な治療が効果的です。それに加えて、日常生活でのセルフケアを行えばより高い効果が期待できます。
まずは紫外線対策を徹底しましょう。紫外線はメラニン色素の生成を促進し、色素沈着を招くだけでなくニキビを悪化させて跡になるリスクを高めます。日焼け止めを適切に使用し、日傘や帽子などで肌を保護しましょう。
次に保湿ケアを丁寧にしましょう。肌が乾燥するとバリア機能が低下し、外部刺激を受けやすくなります。ニキビによるダメージに加えて乾燥の影響を受けると、肌の回復が遅れかねません。普段から保湿力の高い化粧水を使い、乳液やクリームなどで適度に油分を補給するようにしましょう。美白成分を含むスキンケアアイテムの使用も効果的です。
肌のターンオーバーを整え色素沈着を改善するには、角質ケアを取り入れましょう。強いスクラブやピーリングを避け、刺激の少ない角質ケアアイテムを選ぶことが大切です。
毎日の洗顔は優しく行い、皮脂の落とし過ぎに注意しましょう。必要以上に皮脂を取り除くと、肌が乾燥してバリア機能が低下します。その後のスキンケアでも肌への摩擦や刺激を避けてください。肌に触れる時は常に優しくしましょう。日常生活ではマスク着用時にニキビ跡が擦れないよう注意してください。
最後にバランスの取れた食事でビタミンを補給することも大切です。ビタミンCやビタミンE、ビタミンBを含む食材を積極的に取り入れ、揚げ物や甘いものの過剰摂取を控えましょう。
ニキビ跡に関するよくあるご質問
- Q ニキビ跡の種類はどのようなものがありますか?
-
A
ニキビ跡の種類は、主に下記の4種類です。
- 赤みのあるニキビ跡:炎症が残っている状態
- 色素沈着したニキビ跡・茶色いニキビ跡:メラニン色素が過剰に生成され、跡が残っている状態
- クレーターやしこりになっているニキビ跡:真皮の組織が破壊されたり、過剰生成されたりしている状態
- ケロイド状のニキビ跡:皮膚がミミズ腫れのように赤く盛り上がった状態
- Q ニキビ跡の対処法にはどういうことができますか?
- A ニキビ跡の対処法には、美容皮膚科での治療やセルフケアが挙げられます。美容皮膚科では、色素レーザー治療やフラクショナルレーザー治療、LED治療、イオン導入、薬剤注入などの専門的な治療によるニキビ跡のケアが可能です。セルフケアでは、紫外線対策、適切なスキンケア、摩擦や刺激の回避、バランスの取れた食事などが重要です。
- Q ニキビ跡は自力で消せますか?
- A ニキビ跡は、自力で治すことが非常に難しい肌トラブルです。赤みや色素沈着は時間の経過と共に薄くなる可能性があります。しかしクレーターやしこりなどは、美容皮膚科での治療が必要です。ニキビ跡を消したい場合は、早めに専門的な治療を受けましょう。ニキビ跡が残らないよう、炎症が生じたら速やかに薬や治療で鎮静化することも大切です。
- Q 色素沈着のニキビ跡を消す方法はありますか?
- A 色素沈着したニキビ跡を消すには、肌のターンオーバーの促進が効果的です。美容皮膚科では、メラニンの合成を抑制しメラニン色素を還元するビタミンC誘導体で炎症を抑え、色素沈着を改善します。レチノイド、ビタミンEなどが処方されることもあります。ピーリング治療やトーニングにより肌の再生サイクルを整える方法も有効です。