年齢を重ねると、太ったわけではないのに「アゴのたるみ」や「二重アゴ」で顔が大きく見えてしまうなど、アゴまわりのもたつき感にお悩みの方は、男女問わず少なくありません。アゴのたるみが目立ち始めると、実年齢よりも老けた印象になるため、早めに手を打つことが大切です。今回は、アゴのたるみの原因に加えて、予防法や改善方法を詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- アゴのたるみの原因
- アゴのたるみを予防するセルフケア
- アゴのたるみにおすすめの筋トレとマッサージ
- 美容皮膚科でできる「アゴのたるみ」の治療
アゴのたるみの原因とは
アゴのたるみの原因とは、主に加齢などによる表情筋の衰えやストレスによる歯の食いしばりが挙げられます。加齢によってこの表情筋が衰えると、筋肉が脂肪を支えきれずに垂れ下がってしまいます。またストレスなどによって歯を食いしばっている時間が長いと、口を開けるときに使う開口筋が弱まりアゴのたるみを引き起こします。
この他にもアゴのたるみの原因は考えられます。ここからは、いくつかの原因についてそれぞれ詳しく解説します。
加齢
体型は若い頃とそれほど変化がないのにアゴのたるみが気になるという場合は、加齢によって筋力が低下してしまっている可能性があります。顔には頬からアゴにかけて分厚い脂肪層が存在しています。この脂肪層を支えているのが表情筋です。加齢によってこの表情筋が衰えると、筋肉が脂肪を支えきれずに垂れ下がってしまうのです。
姿勢(猫背・巻き肩)
猫背や巻き肩のように丸まった姿勢で過ごすとアゴのたるみに繋がることもあります。もともと姿勢がよくないという人は、顔の位置が下がってしまうことでより重力がかかります。そうすると、肩や首は通常よりも3倍の頭の重みを感じるといわれています。
このことによって肩や首の筋肉が張ってしまい、血流が悪くなってしまうというわけです。血流が悪くなると、たるみやむくみに繋がります。姿勢がよくない人は、普段から背筋を伸ばして肩が開いた姿勢を意識しましょう。
上アゴに舌がついていない
舌の位置が悪いとアゴのたるみに繋がることもあります。正しい舌の位置は、口を閉じた際に舌が上アゴについている状態です。舌の位置を正しく維持していないと舌周りの筋肉が衰えてしまい、顔の筋肉のバランスが崩れてしまいます。
その結果、顔のゆがみやアゴのたるみ、ほうれい線などにつながってしまうのです。まずは自身の正しい舌のスポットを見つけ、その位置をキープできるようにしましょう。
長時間、無表情で過ごす
顔には大小合わせて30以上もの表情筋があるといわれています。長時間マスクをしていたり、人と会話することがなかったりすると、これらの表情筋が衰えてしまいます。
その結果、肌の弾力がなくなってアゴがたるんでしまうというわけです。また、表情筋がこり固まっていると老廃物がたまりやすくなります。このこともむくみやたるみの原因になるといわれています。
舌の筋肉の衰え
舌の筋肉を顎舌骨筋といいます。顎舌骨筋が弱まると舌が口の奥で垂れ下がってしまい、アゴのたるみに繋がる場合があります。日本人は誰でもこの顎舌骨筋が加齢によって衰えてしまう危険性があるので注意が必要です。
なぜなら、日本語はあまり顎舌骨筋を使わない言語だからです。意識して動かさないと劣化してしまうので、気になる人は舌の筋肉のストレッチを定期的に行うようにしましょう。
食いしばり
食いしばりとは、起きている時間帯に無意識に歯を強い力で噛みしめている状態です。通常は無意識の状態では上の歯と下の歯は接触していません。気づいたときに歯が接触しているという人は、食いしばりをしているのかもしれないので注意しましょう。
ストレスなどによって食いしばりをしている時間が長いと、口を開けるときに使う開口筋があまり使われなくなります。その結果、開口筋が劣化してアゴのたるみを引き起こすのです。
スマホ首になっている
一日中スマホを見ているという人も多いでしょう。スマホを見ていると姿勢が悪くなりがちです。首にある頸椎は緩やかにカーブしているものですが、長時間スマホを見続ける姿勢でいると真っ直ぐになってしまうのです。この状態をストレートネックやスマホ首といいます。こうなると首や肩の血流が滞り、こり固まってしまってしまいます。それが顔やアゴのむくみの原因となるのです。スマホを見ている時間が長い人は、時々首や肩をほぐすストレッチを行うよう心がけましょう。
顔のゆがみ
左右の目の高さが違ったり、フェイスラインに左右差があったりなど顔自体がゆがんでしまっている場合、それがアゴのたるみや二重アゴだけでなく、フェイスライン全体のたるみやアゴのシワも引き起こします。食べ物を片側だけで噛んだり頬杖をついたりといった悪い習慣を改めるようにしましょう。
また、顔のゆがみの原因は顔の筋肉が硬直してしまい、顔を横に引っ張ってしまっていることにあります。そのような場合は、大頬骨筋や小頬骨筋をしっかりほぐしてあげることが大切です。
過度に浮腫んでいること
顔のむくみが原因でアゴがたるんでしまうことも多いです。顔がむくんでしまう原因にはさまざまなことが考えられますが、とりわけ注意するべきは塩分や水分のとり過ぎです。
そのほか、浅い眠りや栄養バランスの乱れによる水分代謝不良、ミネラル不足などが原因となることもあります。水分をしっかりと補充しつつ、食生活や睡眠に気をつけるようにしましょう。
鎖骨のリンパ節のつまり
鎖骨にあるリンパ節がつまってしまっていることで顔がむくんでしまい、そのことがアゴのたるみや二重アゴに繋がるケースも多いです。リンパ節がつまると血流が悪くなるためです。むくみが気になるという人は、リンパ節が通っている部分をマッサージするとよいでしょう。
まずは左手の人差し指と中指でアゴの中央あたりの骨を挟みます。そこから、フェイスラインに沿って右耳の下へ流すようにさすりましょう。次に、首の側面に一本すっと通っている胸鎖乳突筋の右側を挟み、耳の下から鎖骨の中央へと流します。今度は鎖骨を挟み、鎖骨から肩に向かって流しましょう。最後に、親指以外の指4本の腹を使って耳の下から首筋、肩までをさすります。このマッサージを左右それぞれ5回くり返しましょう。
また、アゴのまわりにもリンパ節が密集しています。拳を握ったら、指の第1関節と第2関節の部分でアゴの骨をリズム良く叩いていきましょう。アゴの先から耳の下まで、たまっている老廃物をほぐしていくようなイメージです。次に、親指側でアゴの骨にそって叩いていきましょう。振動がちゃんと骨に伝わるようにゆっくり行うことが大切です。
アゴのたるみを予防するセルフケア
アゴがたるんでしまう前に予防したいと思っている人も多いでしょう。そのような人には、毎日の暮らしの中にちょっとした動作を加えたセルフケアがおすすめです。ここからは、簡単にできる方法を2つ紹介します。
PCで作業しながらできるセルフケア
PCによる作業が多い人やスマホを長時間眺めている人は姿勢が悪くなりがちです。姿勢が悪くなると首の肉がたるんでしまい、そのことが原因でアゴのたるみや二重アゴに繋がってしまいます。
また、PCやスマホを見ているときは無表情の状態が長く続いてしまうことも注意するべきポイントです。
そこで、まずは定期的に姿勢を整えて顔を上げるよう心掛けましょう。両手を握り、第1関節から第2関節の平らな部分を後頭部に押し当てほぐします。皮膚ではなく、奥の骨をほぐすようなイメージです。左右に1、2ミリずつ動かしながら、徐々に下へと両こぶしを移動させましょう。頭の付け根辺りまできたら、こぶしを当てる位置を変えてまた上から下へと揉みほぐしていきます。この動作を5回繰り返しましょう。
また、無表情の状態を改善するために口を動かすのもおすすめです。パソコンやスマホの画面を見ながら、口を「い・う」と繰り返して動かしましょう。声を出す必要はありませんが、「い」と「う」それぞれがはっきりとした口の動きになるよう気をつけましょう。
マスクの下でできるセルフケア
マスクをしていると、つい無表情で1日を過ごしてしまうものです。最近あまり笑っていない自覚がある人は、マスクの中で口角を上げるようにしましょう。口角を上げることで、表情筋のひとつである笑筋が鍛えられます。電車通勤中の一定区間で行ったり、休憩中に30秒だけと時間を決めて行ったりするとよいでしょう。マスクをしながらであれば、誰かに気づかれることもありません。
また、顔を上げて首の前面を伸ばし、胸元を両手で押さえるとアゴの周りを引き締めるストレッチになります。あまり人のいる場所ではできませんが、その状態で舌を突き出すとより効果が期待できるでしょう。
アゴのたるみにおすすめの筋トレ
既にアゴがたるんでしまっていたり二重アゴになってしまっていたりする人は、筋トレやマッサージで改善を試みるのがよいでしょう。ここからは、一人でも簡単にできるアゴ周りの筋トレやストレッチを3つ紹介します。
二腹筋(にふくきん)エクササイズ
二腹筋(にふくきん)は耳の下のあたりで始まり、そこからアゴの中央に向けて通っている筋肉です。顎二腹筋(がくにふくきん)とも呼ばれます。舌や下アゴの動きを調整する筋肉です。食事中にむせることが多い人は、この筋肉が弱まっているのかもしれません。アゴのたるみが気になる人は、二腹筋を鍛えることでアゴが引き締まり、すっきりとした横顔になります。アゴのたるみの原因のひとつでもある舌の位置を調整する効果が期待できるからです。
二腹筋を鍛えるには、まず背筋を伸ばして立ち、天井を向きましょう。そうして口を大きく開きます。口角に力を入れながら、5秒間その状態を保持しましょう。ゆっくりと口を閉じ、体を自然な状態に戻します。ここまでの動作を3セット繰り返しましょう。
顎舌骨筋(がくぜつこつきん)エクササイズ
顎舌骨筋(がくぜつこつきん)もアゴの筋肉のひとつで、舌骨上筋です。舌骨と板状につながっています。顎舌骨筋を鍛えればたるみや二重アゴが改善されるだけでなく、話すときの滑舌もよくなります。
顎舌骨筋を鍛えるには、まず立った状態で背筋を伸ばし、ゆっくり天井を仰ぎます。次に、舌を口から垂直に出しましょう。出した舌が下唇にもたれないように注意することが大切です。上を向いて舌を出した状態を5秒間保ちます。5秒経ったら、舌をゆっくりと引っ込めましょう。そうして体を自然な状態に戻します。ここまでの動作を3セット繰り返しましょう。
舌の筋トレ
舌は根元の部分に舌骨があるだけで、それ以外のほとんどの部分は筋肉です。舌をしっかりと鍛えていないと口の中で舌の位置が下がってしまい、そのことがアゴのたるみの原因となってしまうのです。
舌の筋トレ方法にはいくつかあります。まずは、唇を閉じた状態にします。次に、舌で上の歯の外側をなめるような感じで右から左へと動かしていきましょう。およそ2秒で1周のスピードで、20回程度行います。20回行ったら、今度は左から右へと下を動かしましょう。連続で20回行うのが難しい場合には、左右10回ずつを2セットでも問題ありません。
また、アゴのたるみ改善には口の中を舌で押すエクササイズもおすすめです。口を開け、人差し指の横幅程度に上下の歯を開きましょう。次に、上アゴのふくらみの部分に舌先を当てます。10秒間、舌でそのスポットを強く押しましょう。10秒経ったら、5秒休みます。この動作を3回繰り返しましょう。
顔のむくみが気になる人は、ベロ出しエクササイズをしてみましょう。顔を斜め40度くらい上に上げます。その状態で舌を出し、下アゴも軽く前に出しましょう。下アゴから喉にかけての筋肉が張ったような感じになります。その状態で舌を上に向け、10秒間キープしましょう。次に、舌を下に向け、10秒間キープします。上下それぞれ3回繰り返しましょう。
アゴのたるみにおすすめのマッサージ
アゴのたるみが気になるという人は、顔の周りの筋トレやマッサージをするのがおすすめです。どのような原因でアゴがたるんでいるかによって筋トレやマッサージをする場所は異なるので、それぞれ詳しく解説します。
表情筋マッサージ
顔には20種類以上の筋肉がありますが、その中で日常的に動かしているのはわずかに30%程度です。筋肉は動かさないままにしていると劣化してしまいます。それがアゴのたるみの原因となるのです。そのため、スキンケアをしているときなどに表情筋をマッサージすることを心がけましょう。
マッサージ法は、まず拳を握った状態にして、頬骨の下あたりにある筋肉を円を描くような感じで揉んでいきます。少し痛みを感じる気持ち良さの力で30回程度行いましょう。次に、両手の人差し指と親指でアゴを挟みます。人差し指と親指を押しながら、両手を唇の下から耳の下まで横方向に動かします。老廃物が流れてゆくのをイメージして2回行いましょう。最後に、人差し指と中指、薬指の第1関節の部分を使って耳の下から首、鎖骨までをなでるようにマッサージしてゆきます。
リンパマッサージ
むくみが原因でアゴがたるんでしまっている人は、リンパ節がつまっている可能性があります。そのような場合はリンパを押し流すマッサージを行いましょう。
まず、左手の人差し指をカギ形にし、アゴの骨の内側、中心から1cmほど右側に、人差し指の第1関節から第2関節までの部分を押しあてましょう。その状態で口を開け閉めします。開け閉めの動作を8回繰り返したら、人差し指を少しずつエラの方へずらしていきます。合計6ヶ所で行いましょう。終わったら、今度は右手の人差し指で同じ動作を左頬に行います。
フェイスマッサージ
フェイスラインをすっきり引き締めたいという人は、フェイスラインのマッサージを行うのがおすすめです。まずは左手の人差し指と中指でアゴの骨を挟み、中央から右耳の下まで流すように動かしていきましょう。この動作を5回繰り返します。次に、同じく左手の人差し指と中指で首の右側面にある胸鎖乳突筋の右側を挟み、右耳の下から鎖骨に向かって流すようにマッサージします。この動作も5回繰り返しましょう。
今度は左手の人差し指と中指で右側の鎖骨を挟み、中央から肩へ向かって流すようにマッサージします。これも5回行いましょう。最後に、親指以外の左手の指の腹の部分で右耳の下から首筋、右肩までを流すようにマッサージします。この動作も5回繰り返しましょう。すべて終わったら、今度は右手で左側を行います。
押し流しマッサージ
顔の輪郭と首のラインのたるみを改善したいという人は、押し流しマッサージを行いましょう。このマッサージは右側は右手で、左側は左手で、カギ形にした人差し指の側面で行います。まずはアゴの裏の中央部分から耳の下までを押しながら流していきましょう。左右それぞれ5回程度行います。
次に、耳の下から鎖骨にかけて、同じように指で押し流してゆきます。この動作も左右それぞれ5回ずつ行いましょう。指にクリームや乳液を塗っておくと滑りがよくなります。
鎖骨リセットマッサージ
リンパ節の流れをよくするもう一つのマッサージが、鎖骨リセットマッサージです。鎖骨のあたりには大きなリンパ節があります。このリンパ節がつまってしまうと血流が悪くなり、たるみやむくみに繋がるというわけです。
まずはのどぼとけのあたりから外側にかけて、鎖骨の手前側の4ヶ所程度を指で押しましょう。このとき、指で押す方向に少し首をかしげると指が内側に入りやすくなるので押しやすいです。頭を傾けるときに働く斜角筋もほぐすことができるので、肩こり改善も期待できます。次に、押した4ヶ所のうちでよりこりや痛みを感じる部分を中指で押しながら、小さく首を横に振りましょう。この動作を5回繰り返します。今度は、同じ状態のまま首を縦に振ります。この動作も5回繰り返しましょう。終わったら、反対側でもう一度最初から同じ動作を行います。
アゴのたるみについてのよくある質問
- Q アゴのたるみの原因は?
- A アゴがたるんでしまう原因はさまざまです。アゴの脂肪の増加や加齢による肌質の変化が原因のことが多いですが、そのほかにも、猫背や巻き肩によって背中や肩が丸まった状態を長く続けていることが原因のケースもあります。また、舌が上アゴにつかず口の奥で垂れ下がってしまうことが原因でアゴがたるんでしまう場合もあります。
- Q アゴのたるみの解消法は?
- A アゴのたるみを改善する方法としては、顔や舌の筋肉のトレーニングやマッサージがおすすめです。また、アゴのたるみの原因である生活習慣の改善に取り組むのもよいでしょう。猫背や巻き肩の人は姿勢をよくすることを、無表情で長時間過ごしてしまっている人は口角を上げたり口を動かしたりすることを心がけましょう。
- Q アゴのたるみを美容皮膚科で解消する方法は?
- A 美容皮膚科でアゴのたるみを改善する場合、原因によって方法はさまざまです。たとえば、脂肪が多い場合には脂肪吸引やクールスカルプティング、脂肪溶解注射を行います。加齢によるたるみの改善法には医療ハイフや糸リフトがあります。アゴが後ろに下がってしまっている場合はプロテーゼ挿入やヒアルロン酸注射が主な改善法です。
- Q アゴのたるみを美容皮膚科で解消する費用は?
- A 品川スキンクリニックが行っている糸リフトによるたるみ治療「美肌アモーレ」は、糸の本数によって異なりますが、税込93,500円から行っています。また、注射で脂肪を溶解・排出する「1日脂肪取り®顔やせ」は、30cc×2回の場合税込118,800円です。冷却して脂肪を破壊する「クールスカルプティング®(クルスカ)」は1ヶ所につき税込29,800円から行っています。