年齢を重ねると徐々に気になり始める、目元やおでこ、口周りのシワ。シワがあるだけで見た目の印象を左右するだけに、たくさんの方が抱えている悩みの1つです。普段のスキンケアアイテムにプラスして、シワ改善効果のある有効成分が配合されたクリームや美容液などを使ってケアすることでシワの改善が期待できます。ここではシワを改善する方法とシワに有効な成分について徹底解説いたします。

シワを改善する2つの方法

シワを改善するには、大きく分けて2つの方法があります。この段落では、それぞれの方法について詳しく解説します。

有効成分が配合された医薬部外品

有効成分が配合された医薬部外品【画像】

シワを改善する1つ目の方法とは、シワの改善に有効だとされている成分が配合された医薬部外品を使用することです。一般的なスキンケア用品は薬機法によって「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の3つに分類されています。それぞれが持つ効果・効能の違いによって分かれているのです。

「医薬品」は厚生労働省によって効果が認められている有効成分が配合された治療を目的とした薬のことをいいます。

「医薬部外品」は医薬品と同様に厚生労働省によって効果が認められた有効成分が一定の濃度で配合されているものですが、医薬品より効果が緩く、予防や衛生面への効果が期待されるものです。「化粧品」は3つの中ではもっとも効果が緩和なもので、もともと健やかである肌の状態を保つ、清潔にする、魅力を増すなどのことを期待しているものです。

そのため、改善する、予防する、殺菌するなどの治療や身体・皮膚の変化を思わせる表現をパッケージや広告などに使用することは禁止されています。

つまり、シワを改善したいと思ったときに一番手軽に始めやすい方法は、一般的なスキンケア用品の中でも化粧品ではなく、医薬部外品に分類されている商品を使うことです。シワの改善に有効だと認められた成分が配合されている医薬部外品の薬用化粧品を使用することで、浅いシワや深いシワを目立たなくしたり、それ以上シワを深くしないなどの予防ができる可能性があります。ただし、医薬部外品の効果は緩やかなため深いシワの改善までは難しいでしょう。

ヒアルロン酸注射などの美容医療

ヒアルロン酸注射などの美容医療【画像】

ほうれい線などの深いシワに関しては、シワを改善する2つ目の方法である美容医療の方が向いています。美容医療は美容クリニック、美容皮膚科などで治療を受けるもので、ヒアルロン酸ボツリヌス・トキシンなどの注入糸リフト光照射などの医療機器を使った治療によってシワを改善するものです。

美容目的のため自費診療扱いで治療費が高額になること、治療を行うためダウンタイムや副作用などの注意点もありますが、深いシワが大きな悩みになっている人には美容医療がおすすめできます。

シワの改善に有効な3つの成分

「シワ改善クリーム」など、シワの改善をパッケージに明記している医薬部外品の薬用化粧品には、シワの改善効果が承認されている成分が配合されています。この段落では、シワの改善に有効な3つの成分「ニールワン」「レチノール」「ナイアシンアミド」についてそれぞれ解説します。

ニールワン

ニールワン【画像】

シワに有効な3つの成分の1つが、ポーラ独自の医薬部外品有効成分である「ニールワン」です。ポーラがシワのできるメカニズムを研究した結果、好中球エラスターゼという酵素の過剰が、シワができる原因の1つだということがわかりました。

白血球の一種である好中球が紫外線などによる小さな炎症を傷と勘違いしてしまい、好中球エラスターゼという酵素を過剰放出してしまいます。これによって、コラーゲンなどの真皮成分が分解されてしまいシワができる原因となるのです。この好中球エラスターゼをブロックする働きをする成分がニールワンです。ニールワンは好中球エラスターゼと合体して真皮成分が分解されてしまうのを抑制し、真皮の生成と分解のバランスを整えてシワを改善します。

レチノール

レチノール【画像】

レチノールとは、ビタミンAの1種です。脂溶性の抗酸化ビタミンであり、皮膚や粘膜を健やかに保つ働きをしています。昔からスキンケアの成分に使われており、炎症や腫瘍の抑制の効果があるためニキビの治療などにも使われてきました。

2017年には厚生労働省によってシワ改善の効果が認められています。ただし、レチノールには光や熱に弱くデリケートだという弱点があったのです。そこで、資生堂が独自に開発し、安定的に配合することに成功した「純粋レチノール」が商品化されています。肌の代謝を整え、ヒアルロン酸の生成を助け、コラーゲンの密度を高めるといったレチノールの働きによって、シワを改善する効果が期待できます。

ナイアシンアミド

ナイアシンアミド【画像】

ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)とは水溶性のビタミンB3のことで、エネルギー産生や脂質・アミノ酸の代謝に関わっています。肌を健やかに保つさまざまな働きをしており、表皮の上層部ではセラミドの合成を促して水分を保持し、表皮の下層部ではメラニン色素の生成を抑えてシミを予防します。

また、真皮ではコラーゲンの産生を促しています。こういった働きにより、シワを改善する効果が期待できるのです。シワ改善に有効な3つの成分の中で唯一、水溶性のため汎用性が高く、化粧水やジェルなどのみずみずしさのある商品にも配合することができます。また、コストパフォーマンスが良いため価格の安い化粧品にも配合されており、継続して使いやすいことも魅力となっています。

医療機関による主なシワ取り治療

深く刻まれたシワや表情筋の動きによってできるシワ、たるみが関連しているシワなどは、セルフケアだけで改善することが難しいです。こうしたケースでは医療機関の受診を検討するとよいでしょう。医療機関で行われている主なシワ取り治療を解説します。

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射【画像】

ヒアルロン酸をシワが気になる部分に注射すると、肌の中で水分を引き寄せて維持し、肌にハリや弾力を持たせることが可能です。ヒアルロン酸によって肌がボリュームアップし、額や目元のシワ、ほうれい線などを目立たなくすることができます。弾力のある状態は、個人差はあるものの3~6ヶ月程度続きます。

ヒアルロン酸は体内に徐々に吸収されていくため、シワのない状態を保つためには定期的なヒアルロンの注射が必要です。ヒアルロン酸は元々体内にあり、膝関節痛の治療などにも使われる成分なので、吸収されても問題はありません。ヒアルロン酸注射には極細針を使うため痛みを少なくできますが、痛みが気になる場合は麻酔薬や冷却で抑える対応を依頼するとよいでしょう。

HIFU(ハイフ)

HIFU(ハイフ)【画像】

HIFUは「High Intensity Focused Ultrasound(高密度焦点式超音波)」の頭文字をとったもので、超音波の熱エネルギーを肌に照射し、肌の奥にあるSMAS筋膜にアプローチしてたるみを引き締める治療です。

真皮や皮下組織の奥にあり、肌の土台を支えるSMAS筋膜を引き締めるため、皮膚表面のシワやたるみが目立たなくなります。所要時間は15~30分間程度で、持続期間は半年~1年間程度、治療後1~2ヶ月後に肌の変化を感じる人が多いです。ダウンタイムがほとんどない点もメリットといえるでしょう。肌の弾力をアップさせ、肌の中のコラーゲンに働きかけることも期待できます。

ボツリヌス・トキシン注入

ボツリヌス・トキシン注入【画像】

ボツリヌス・トキシン注射は、ボツリヌス菌が産生するたんぱく質を利用した製剤です。ボツリヌス・トキシンには、筋肉を動かす神経伝達物質・アセチルコリンの分泌を妨げる作用があるため、注射することで筋肉の働きを緩めることができます。

そのため、額の横ジワや眉間の縦ジワ、目尻のシワなど、表情筋が原因のシワ治療に適しています。治療時間は10分程度です。個人差はありますが、注射をした2~3日後から変化を感じられるようになり、シワのない状態を4~8ヶ月程度持続することができます。繰り返し注射することで筋肉の働きを弱め、持続期間を長くすることも可能です。ダウンタイムが少なく、治療当日から普段通りの生活を送ることができます。

シワ改善クリームの選び方

小ジワや表情ジワを目立たなくするために、セルフケアという方法もあります。ここからはシワ改善クリームの選び方について、「有効成分」「保湿力」「低刺激」の3つのポイントから解説していきます。

有効成分が配合されているか

有効成分が配合されているか【画像】

「シワを改善する」と明記するには、厚生労働省認可の有効成分が含まれた医薬部外品(薬用化粧品)である必要があります。シワ改善の有効成分は、レチノール、ナイアシンアミド、ニールワンの3つです。

レチノールは肌のターンオーバーやヒアルロン酸の生成を促し、真皮のコラーゲン密度を高めます。ニールワンはポーラ化粧品が独自に発見し、日本で初めてシワ改善効果が認可された成分です。シワの原因の一つは、真皮内のコラーゲンやエラスチンが「好中球エラスターゼ」という酵素によって分解されることで、ニールワンはこの好中球エラスターゼをブロックしてシワの原因にアプローチします。ナイアシンアミドはコラーゲンの生成を促進し、メラニンの生成を抑制します。手ごろな価格の化粧品にも配合されているのが特徴です。シワ改善クリームを選ぶ際には、これらの3つの有効成分が明記されている医薬部外品から選ぶとよいでしょう。

保湿力が高いか

保湿力が高いか【画像】

シワができやすい部位は皮膚が薄く乾燥しやすい傾向があるため、保湿力の高い美容クリームで潤いを補い、肌を乾燥から守ることが大切です。保湿することで、乾燥による浅い小ジワの対策にもなります。

水分を抱え込む性質があるヒアルロン酸やコラーゲン、肌のバリア機能を高めるセラミドなどが含まれた製品も選択肢になるでしょう。オイル成分は角層を柔軟にし、皮膚が硬くなりがちな目元や口元の動きをなめらかにします。シワ改善の有効成分であるレチノールを使っている場合は、特に乾燥に注意が必要です。ターンオーバーを促進され、肌が乾燥しやすくなるため、普段以上に保湿を重視する必要があることも覚えておきましょう。

肌への負担が小さいか

肌への負担が小さいか【画像】

美容成分が「シワを改善する」と認められるためには、2ヶ月以上のテストを行いシワ改善の変化を確認する「シワ効能評価試験」をクリアしなければなりません。シワ改善クリームの効果を判断するには2ヶ月程度使い続ける必要があるともいえるでしょう。長期間使うためにも肌への負担が少ないものを選ぶことがポイントです。

シワ改善クリームは、目元や口元など、粘膜に近く刺激を受けやすい部位に使うアイテムなので、最初は少量から試してみましょう。アレルギーテスト済みと記載されていても、痒みや刺激を感じたら使用を中止して様子を見ることが大切です。目元のシワを重点的に改善したい場合は、刺激を与えすぎないように、目元専用のクリームを使う方法もあります。

シワ改善クリームの使い方

シワ改善クリームの使い方【画像】

シワを改善する効果が期待できるクリームは、正しく使うことで効果的なシワ対策につながります。ポイントは、スキンケアの手順、使用量、塗り方の3点です。化粧水、美容液、クリームなど、スキンケアで複数のアイテムを使っている人が多いでしょう。角質層に各アイテムの成分をしっかりと届けるためにも、肌に付ける順番は大切です。水分の多いものから油分の多いものへと順番に付けることで、うるおいや美肌成分が角質層に届きやすくなります。

スキンケアアイテムは適量を使うことも重要なポイントです。きれいな肌になるためにたっぷりと使いたくなりますが、付けすぎると肌に残り、次に使用するアイテムが肌になじみにくくなります。逆に使用量が少なすぎると、肌に付けるときに摩擦が生じて肌にダメージを与えてしまいます。

クリームを塗る範囲に合わせた塗り方も意識しましょう。塗り方に気を付けることで、角質層に浸透しやすくなるからです。顔全体など広範囲に塗るときは、手のひらを使ってあごから耳にかけて顔全体を持ちあげるようにしてムラなく均一になじませます。特にシワが気になる部分は重ね付けします。目元など狭い範囲にクリームを塗るときは、指先にクリームを付けて下から上、内側から外側に向かって優しく伸ばすのがコツです。シワに沿って同じ方向ではなく、シワに対して垂直に塗り込みシワを伸ばすようになじませましょう。

シワができやすい箇所と対策方法

顔の中でも特にシワができやすいおでこ、目元、首元について、それぞれのシワの原因と対策を解説します。

おでこ

おでこ【画像】

おでこのシワは肌のキメが乱れているように見える細かいシワと、一目見てわかるほどの深いシワの2つのタイプに分けられます。おでこのシワの主な原因は、肌の乾燥、紫外線、ハリの低下、表情のクセです。保湿、紫外線対策、表情を意識することがおでこのシワ対策に繋がります。おでこはテカリが目立ちやすいため、洗いすぎや保湿不足が起こりやすいパーツです。基本のスキンケアアイテムに加えて、シワを目立たなくする効果が期待できる美容液やクリームをプラスしましょう。

紫外線は、肌にハリをもたらすコラーゲンやエラスチンを破壊します。紫外線を防ぐためにも一年中日焼け止めを塗る、日傘や帽子をかぶって紫外線を浴びないようにすることです。また、どんな表情や動作をしているときにおでこにシワが寄ってしまうのかを鏡でチェックし、表情や姿勢を意識することもシワの改善につながります。

目元

目元【画像】

目元のシワは、主に目尻にできやすく細かいシワがいくつも刻まれているのが特徴です。目元のシワの原因は、目の酷使、肌の乾燥、紫外線、加齢です。保湿と紫外線対策、目を休めることが目元のシワ対策としておすすめです。目の周りの皮膚は薄くてデリケートなため、クレンジングでゴシゴシこすると肌がダメージを受けて乾燥やシミの原因になります。化粧水や美容液、クリームを使うときは、指の腹を使って優しく丁寧になじませてしっかりとうるおいを届けることを意識します。

一年中降り注いでいる紫外線対策として、日焼け止めを塗るのはもちろん、帽子や日傘、サングラスの併用がおすすめです。スマホやタブレットなどデジタル機器を長時間使用する機会が増えたことにより、目の周りが血行不良を起こし、シワやたるみ、シミの原因になっています。デジタル機器を使用するときは小まめに休むだけでなく、ホットタオルなどで目元を温めて血行をよくすることも大切です。

首元

首元【画像】

首のシワは縦と横に入っているのが特徴です。横ジワは、首を動かす動作によってできるため10代でも出ています。乾燥して肌が寄っている縦ジワが老けた印象を与えるため、若々しく見せるためにも縦ジワ対策が求められます。首元のシワも主な原因は、紫外線と乾燥です。首は、顔よりも皮脂腺が少ないため乾燥しやすいパーツです。しっかりお手入れしない状態の首に紫外線が当たることで、縦ジワが目立ちやすくなります。

首元のシワ対策として、保湿ケアとマッサージがおすすめです。顔と首を一つのパーツとして捉え、化粧水や美容液、クリームを使ってしっかりお手入れしましょう。また、スマホやパソコンの長時間使用により血行が悪くなりやすいため、肩甲骨回しや軽いマッサージで凝りをほぐします。日焼け止めも、顔と同様に毎日塗ることを意識してください。

シワ改善についてのよくある質問

Q シワ改善クリームはほうれい線にも効果ある?
A 小鼻から口元に向かって「ハ」の字型の伸びるほうれい線が気になる方も多いでしょう。加齢とともに肌にうるおいやハリをもたらすコラーゲンやエラスチンが減少します。シワ改善クリームでほうれい線対策をするなら、肌のターンオーバーを促すレチノールやコラーゲンの産生をサポートするナイアシンアミドが配合されているものを選びましょう。
Q クリーム以外でシワを改善する方法はある?
A シワ対策として、表情筋のトレーニングもおすすめです。シワやたるみの主な原因は、加齢が原因で起こる弾力やハリの低下、表情筋が緩むことで皮下脂肪が垂れ下がることです。表情筋を正しく鍛えることによって、肌が引き上がりシワやたるみの改善が期待できます。ただし、やり方を誤ったり、鍛えすぎたりすると逆効果となるため注意が必要です。
Q マッサージはシワの改善に効果ある?
A シワをつくる原因がいくつかありますが、マッサージで効果が期待できるのはほうれい線や目元のたるみなど、肌の老化や表情筋の低下によってできたものです。乾燥や紫外線ダメージが主な原因でできたシワは、マッサージよりも保湿と紫外線対策が適しています。また、正しいやり方でマッサージしないと、かえってシワを深くするリスクがあります。