年齢とともに、小ジワや毛穴の増加、ニキビ跡やクレーターなど、気になる肌トラブルは増えていくもの。こうした肌のお悩み改善には、肌の自然治癒力を促進する治療法であるダーマペンが効果的です。

この記事では、美容皮膚科専門ドクターがダーマペンの効果、メリット・デメリットなどを解説します。ダーマペンの治療を検討されている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

ダーマペンとは

ダーマペンとは【画像】

ダーマペンは、小ジワ・たるみ・毛穴の開き・ニキビ跡など、総合的な肌のお悩みを改善できる施術です。ダーマペンと呼ばれるペン型の機器を使用して、超極細の針を肌に刺して一時的に極小の穴を開け、皮膚の自然治癒力を引き出します。その結果、コラーゲン・エラスチンの生成促進やターンオーバーの改善効果があります。

元々、ダーマペンはオーストラリアで生まれた美容療法で、2011年に「ダーマペン1」が発売されてから改良が重ねられ、現在は「ダーマペン4」が使用されています。最新の「ダーマペン4」は先端に16本の針を備え、針を刺す深さを3.0mmまで調整することで肌トラブルに応じたアプローチが可能です。また、小ペン型の機器なので、美容液注入では難しい目元の近くや小鼻など、細かい範囲もしっかりケアできることが特徴です。

ダーマペンの効果

元々肌が持っている自然治癒力を引き出すダーマペンは、様々な肌のお悩みに効果があります。この項目では、一般的なダーマペンの効果について解説します。

新しい肌細胞へと生まれ変わる

新しい肌細胞へと生まれ変わる【画像】

ダーマペンで開いた小さな穴をふさぐ過程で、肌のターンオーバーが促進されます。ターンオーバーとは、28日程度の周期で古い皮膚がはがれ、新しい皮膚へと入れ替わっていくサイクルを指します。しかし、このターンオーバーが乱れると、古い角栓や皮脂が毛穴に溜まり、くすみや肌トラブルを引き起こす要因となってしまいます。

ダーマペンの治療には、乱れたターンオーバーを元の周期に戻す効果があります。それにより、毛穴に溜まった汚れやシミの原因になるメラニンを自然に排出させるため、毛穴の黒ずみ・シミを改善するとされています。さらに新しい肌細胞が皮膚の表面に出てくるため、きめ細やかな肌になることも期待できます。また、ターンオーバーを整えると皮脂の分泌が適量に保たれるため、毛穴のつまりや黒ずみが起こりにくい肌質への改善にもつながります。

美容成分の生成が活性化される

美容成分の生成が活性化される【画像】

ダーマペンには、肌の美容成分生成を促進する効果があります。皮膚組織で生成されるコラーゲンやエラスチンは、肌のハリや弾力をもたらす重要な美容成分です。

しかし、これらの成分は加齢や紫外線ダメージによって減少し、小じわや肌の乾燥の原因となります。

ダーマペンは、肌にわざと小さな穴を開けることで皮膚組織にアプローチし、コラーゲン・エラスチンの生成を促進させます。その結果、肌のハリ・弾力を回復し、うるおいをもたらす効果があります。

また、ニキビ跡やクレーターが残ってしまった肌に対しても、美肌成分生成を活性化することで凸凹になってしまった皮膚組織をなだらかにするよう再生させる効果が期待できます。

導入液による様々な美容効果

導入液による様々な美容効果【画像】

ダーマペンで開けた肌の小さな穴が塞がるまで、一般的に数分から数時間で塞がります。穴が塞がる前に導入液を注入・浸透させることで、高い効果を期待できます。

例えば、ヒアルロン酸やプラセンタなどの美容成分を含んだ導入液を注入すれば、肌質改善の効果が高まります。また、シミにお悩みの場合は、色素沈着の原因となるメラニンを抑制する高濃度ビタミンCを導入すると美白効果が得られます。その他、DMAEなどの導入液を使用すると、フェイスラインの引き締め、リフトアップ効果が期待できます。

ダーマペンで利用できる導入液は多岐にわたるので、ご自身の肌トラブルをカウンセリングで相談して合ったものを選びましょう。

ダーマペンの効果がある肌トラブル

ダーマペンは肌の自然治癒力を引き出して肌トラブルの改善を促す美容医療機器です。そのため、さまざまな肌トラブルに対応できるという特徴があります。ダーマペンで改善が期待できる代表的な肌トラブル「ニキビ跡やクレーター」「シミやくすみ」「毛穴の開きやたるみ」などの治療について解説します。

ニキビ跡やクレーター

ニキビ跡やクレーター【画像】

ニキビ跡の代表的なものは、赤み色素沈着クレーターです。ニキビの炎症が続くと、肌を守るためにメラニン色素が過剰に作られて色素沈着を引き起こしたり、皮膚組織が破壊されて正常に再生されずクレーターになったりします。

特にクレーターは表皮の奥にある真皮層にまで及んでいることがあり、通常のスキンケアだけで滑らかな状態に戻すのは困難です。

その点、ダーマペンは針が真皮層まで届くため、真皮層に及ぶニキビ跡も徐々に薄くしたり、目立たなくさせたりすることが期待できます。ダーマペンで治療すると線維芽細胞が活性化し、コラーゲンやエラスチンといった美肌に欠かせない成分が生成されるためです。

シミやくすみ

シミやくすみ【画像】

シミやくすみの原因としてよく知られているのがメラニン色素です。肌が紫外線や摩擦などのダメージを受けると、表皮の最も奥にある基底層に存在するメラノサイトが活性化し、肌を守るためにメラニン色素を作り出します。

メラニン色素は通常、肌のターンオーバーにより適切に排出されますが、過剰に作られたり、ターンオーバーが乱れていたりすると、皮膚に蓄積してシミやくすみの原因となります。ダーマペンがシミやくすみに対応できるのは、皮膚組織の再生を活性化させ、ターンオーバーを整えて新しい細胞を皮膚の表面に押し上げるからです。

一方で、シミやくすみは、さまざまな要因が複合的に合わさって出現するため、原因に応じた治療をすることも大切です。

毛穴の開きやたるみ

毛穴の開きやたるみ【画像】

毛穴の開きは皮脂や角質が毛穴に詰まったり、加齢によって肌がたるんだりして起こります。そのため、肌のたるみを改善することで毛穴が引き締まるケースも多いです。

ダーマペンの刺激は皮膚組織の再生を促し、肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンを生成します。これらが皮膚を支える土台となり、たるみを目立たなくする効果が期待できます。

また、ダーマペンによる治療でターンオーバーがスムーズに行われるようになると、古い角質がはがれ落ちやすくなり、角質の汚れが毛穴に詰まりにくくなる点もポイントです。

その他

その他【画像】

ダーマペンの効果が期待できるのは、肌のターンオーバーや組織の再生によって症状が改善するケースです。例えば、小ジワや妊娠線、毛孔性苔癬などが挙げられます。

妊娠線の原因は急激にお腹が膨らむことによって真皮層と皮下組織が裂けることです。真皮層のターンオーバーは表皮に比べて時間がかかるため改善は簡単ではありませんが、時間をかけてダーマペンで真皮層の再生を促すことで妊娠線を薄くすることが期待できます。

毛孔性苔癬は角質がはがれずに残って溜まるもので、肌がざらつき、赤い点々となって現れます。加齢とともに自然に治ることが多いですが、ターンオーバーの乱れが原因の1つと考えられているため、ダーマペンで対策することも可能です。

ダーマペンの効果が出るまで

ダーマペンは総合的な肌トラブルに対応できる美容医療機器です。

しかし、効果が感じられるまでの期間や回数は症状や治療を行う部位によって異なります。熱を加えたり切開をしたりする治療法と異なり、皮膚の自然治癒力を活用する治療法なので、症状改善のペースは緩やかです。事前に効果が感じられるまでの期間や回数、効果の持続期間を知り、計画的に治療を進めることが大切です。

施術後に効果が表れるまでの期間

施術後に効果が表れるまでの期間【画像】

ダーマペンの効果を実感できるようになるまでの期間は、治療の目的や部位によって異なりますが、概ね1週間から2週間程度必要です。ダウンタイムが数日から1週間程度で落ち着いた頃に、少しずつ効果が見え始めます。

ただし、クレーター状のニキビ跡や妊娠線などは、目に見えて効果を感じるまで時間がかかるため、1度の治療で効果を実感することは難しいでしょう。

必要な施術回数

必要な施術回数【画像】

ダーマペンの治療は、複数回行うことでより効果を感じられるとされています。毛穴の引き締めは3~6回程度、クレーター状の深いニキビ跡を浅くしたり、濃い色素沈着を薄くしたりするには5~10回程度必要です。

症状が重いほど、効果を感じるまでに回数がかかります。ダーマペンの治療時に薬剤を併用するケースや、治療をする部位、状態によっても回数は異なります。一方で、肌のキメが整い、ハリが出るといった肌質の変化は、1回の治療でも感じられることがあるでしょう。

効果の持続期間

効果の持続期間【画像】

ダーマペンは治療を受けた後、肌の回復を待って3~4週間程度間隔をあけ、次回の治療を行います。効果は永続的ではありませんが、間隔を開けたからといって治療を受ける前の状態に戻ってしまうわけではありません。

状態を持続させるなら、6~8週間間隔でメンテナンスを行うとよいでしょう。紫外線対策や保湿といったアフターケアを徹底することで持続期間を延ばすこともできます。

ダーマペンのメリット

ダーマペンには3つのメリットがあります。通常のセルフケアでは働きかけることが難しい肌の深層に刺激を与えることができる点、熱を加えたり切開したりしないため、痛みが少なく傷跡が残りづらい点、そして、ダウンタイムが少なく済む点です。日常生活に戻るまでの時間や、治療を受けた肌への負担を抑えながら、肌本来の自然治癒力を引き出す治療で総合的な肌悩みに対応できます。それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

肌の深層から肌トラブルを改善できる

肌の深層から肌トラブルを改善できる【画像】

ダーマペンは小さな針で肌に穴を開け、皮膚が再生する力を利用して肌悩みを改善する美容医療機器です。皮膚が組織を修復する過程で、肌を健やかに保つターンオーバーが活性化するほか、コラーゲンやエラスチンといった美肌に欠かせない成分が作り出されるため、シワやたるみ、毛穴の開きなど、肌悩みの総合的な改善が期待できます。

皮膚は外側から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されています。ダーマペン4は最大深度が3ミリで、針を刺す深さを0.1ミリ単位で調整できるため、肌悩みに応じて刺激を与える層を変えることが可能。皮膚の真皮層に及ぶクレーター状のニキビ跡も、ダーマペンを使って真皮層付近を刺激し、ターンオーバーを正常に戻すことで、肌の深層から改善を促すことができます。通常、美容液を浸透させることができるのは、表皮の最も外側にある角質層までです。しかし、ダーマペンと組み合わせることで、美容成分を真皮層まで届けることも可能になります。

痛みが少なく傷跡が残りづらい

痛みが少なく傷跡が残りづらい【画像】

ダーマペンは痛みが少なく傷跡が残りづらい美容医療機器です。一般的に医療機関で使われる針は、輸血用が18G~19G、皮下注射は22~25Gほどのサイズなのに対し、ダーマペン4の針は極細の33G(外径0.2ミリ)。Gの数字が大きいほど針は細くなるため、33Gがいかに細い針かということが分かるでしょう。

皮膚に開ける穴はとても小さなものなので、治療後のNG事項を避け、適切なアフターケアを行えば、大きな傷跡が残ることはないとされています。

また、ダーマペン4には、治療中の痛みを軽減する「オートマティックバイブレーション機能」が搭載されていることも特徴です。「それでもやっぱり不安」という人や、痛みを感じやすい箇所、深度に治療を行うときは、痛みを軽減するために麻酔を使うこともできます。ダーマペンは熱を加えたり、切開を行ったりしないため、やけどや大きな傷跡にはならないとされる点もメリットといえるでしょう。

ダウンタイムが短い

ダウンタイムが短い【画像】

ダーマペンは治療後のダウンタイムが短いことが特徴です。翌日にはメイクをしたり、お風呂に入ったりできるため、長期間仕事の休みを取る必要もなく、治療を受けることができます。

赤みや腫れ、痛みといった副作用が起きることもありますが、針を刺す深度や部位によって異なるものの数日~1週間程度で自然に落ち着くことが多いです。症状は比較的軽く、日常生活への影響はほとんどないとされます。

ダーマペンのデメリット

ダーマペンのデメリットは、複数回の治療が必要な点副作用がある点ダウンタイム中の生活に制限がある点です。それぞれについて詳しく解説していきます。

複数回の施術が必要

複数回の施術が必要【画像】

ダーマペンはさまざまな肌悩みに対応できますが、症状によって必要な治療回数が異なります。ニキビ跡や毛穴の引き締め、肌質の改善などは3~6回程度、深いニキビ跡や濃い色素沈着などは5~10回以上かかることもあります。1度の治療で目に見えて効果が分かるケースもありますが、多くの場合、効果が感じられるまでには複数回の治療が必要でしょう。

治療の間隔は、3~4週間程度開けることが望ましく、1年ほど通院することもあります。治療を受ける前に、どれぐらいの回数と期間がかかるか、医師に確認しておくとよいでしょう。

副作用がある

副作用がある【画像】

ダーマペンの副作用は、皮むけ、赤み、痒み、腫れ、ヒリヒリした感覚や熱っぽい感覚、内出血、治療中の痛みなどです。このうち、皮むけは肌のターンオーバーによるものなので、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。

赤みや腫れは針の刺激による炎症です。治療後すぐ現れ、多くは2、3日で落ち着きます。内出血は針が毛細血管を傷つけて起きるもので、1週間程度で改善することが多いです。気になるときや症状が長引くときは、治療を受けた病院を受診しましょう。

ダウンタイム中に制限がある

ダウンタイム中に制限がある【画像】

ダウンタイム中の肌は炎症が起き、ダメージを受けやすい状態になっています。そのため、日常生活に制限が必要な場面があります。その1つが紫外線対策です。紫外線を浴びると色素沈着が起きたり、ダウンタイムが延びたりする可能性があるため、日焼け止めや日傘、長袖着用など紫外線対策が欠かせません。

ダウンタイム中は、屋外でのレジャーは控えましょう。紫外線が強い時期の治療を避けることも1つの方法です。ダウンタイム中は肌が乾燥しやすいため、徹底した保湿が必要な一方で、治療直後は保湿剤や日焼け止めを含め、6時間ほどは肌に何もつけてはいけません

24時間経過するとメイクができるようになりますが、その後もダウンタイム中は低刺激のスキンケア・メイク用品が推奨されます。入浴や飲酒、激しい運動も血行を促進し、肌の赤みが増す要因になるので避けましょう。シャワーは当日から浴びることができますが、入浴ができるのは24時間経過後です。

ダーマペンのまとめ

ダーマペンとは、超極細の針で肌の表面に小さな穴を開け、肌の自然治癒力を利用して総合的な肌のお悩みを改善できる施術です。コラーゲンやエラスチンが生成されることで、肌のハリや弾力の回復、色素沈着によるニキビ跡や毛穴の開き、毛穴のたるみ、小ジワの改善効果が期待できます。

また従来機に比べてダーマペン4には、超極細の針とオートマチックバイブレーション機能が搭載されているため治療中の痛みが少なく、傷跡が残りづらいのが特徴です。施術後はお肌がダメージを受けやすい状態になっているため、保湿や紫外線対策などいくつかの注意点はありますが、1回の治療でも肌のキメやハリといった肌質改善に期待できます。

当院では、患者様のお悩みに合わせて適切な治療法を提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

ダーマペンについてのよくある質問

Q 1回でも効果を実感できますか?
A

ダーマペンはあくまでも皮膚の自然治癒力を促進させる美容療法のため、1~2回では変化が分かりにくいかもしれません。

肌トラブルによって適切な治療回数は異なりますが、一般的にニキビ跡や毛穴の改善を実感するのは1カ月に1度のペースで5~6回ほど治療を行った場合だとされています。クリニックと相談し、適切な治療計画を立てましょう。

Q ダーマペンの効果がない人はいますか?
A

ダーマペンは皮膚の自然治癒力にアプローチするため、どうしても元々の体質に効果が左右されます。また、ダーマペンの針は医療用ステンレス製のため、金属アレルギーの方は治療を受けられません。

さらに、治療後は肌が弱っているため、適切なUV対策・スキンケアをしないとダメージを受けてしまい、新たな肌トラブルの元となる可能性もあります。

Q 費用はどれくらいかかりますか?
A

ダーマペンを顔全体に行う場合、1回の費用は2万円程度です。一般的にダーマペンは複数回治療するため、5回治療の場合は10万円程度となるでしょう。

また、ダーマペンは治療中痛みが生じるため、麻酔クリームを塗布することが多いです。クリニックによって麻酔代がオプションで3000円ほどかかる場合もあるので、治療前に確認しましょう。